学生・生徒の自殺の動機、多いのは学校問題
自殺の原因・動機別自殺者数(以下、原因や動機は重複)で見ると、経済・生活問題は10年連続、家庭問題は8年連続、健康問題は6年連続で減少している。その半面、男女問題で前年比11人(1.5%)増の726人、学校問題で同1人(0.3%増)の355人と増加している点に、若年者の自殺増加の原因がうかがえそうだ。
職業別の自殺者数では、「学生・生徒等」が前年比76人(9.4%)増の888人となっており、このうち19歳以下の516人(男性346人、女性170人)、20~29歳の354人(男性262人、女性92人)が多数を占める。
「学生・生徒等」の内訳では、小学生8人(男性3人、女性5人)、中学生112人(男性65人、女性47人)、高校生279人(男性199人、女性80人)、大学生390人(男性283人、女性107人)、専修学校生等99人(男性69人、女性30人)の合計888人(男性619人、女性269人)。
「学生・生徒等」の自殺の原因・動機別を見ると、もっとも多いのが学校問題で323人(男性241人、女性82人)、次いで健康問題205人(男性120人、女性85人)、家庭問題120人(男性75人、女性45人)、男女問題79人(男性44人、女性35人)の順。
年齢階層別の原因・動機別自殺者数で見ると、男女問題は20~29歳が237人(男性130人、女性107人)と多く、次いで30~39歳の187人(男性121人、女性66人)となっており、19歳以下は63人(男性32人、女性31人)と少ない。
半面、学校問題では19歳以下が202人(男性146人、女性56人)、20~29歳が144人(男性117人、女性27人)と圧倒的に多い。
つまり、年齢階層別で唯一、自殺者数が増加している19歳以下では、「学生・生徒等」の自殺の原因・動機となっている「学校問題」が大きく影響している可能性が高い。もちろん、自殺の原因・動機は複合的なものであるため、「男女問題」が関係しているかもしれない。多感な時期をすごす「学生・生徒等」について言えば、男女問題も学校問題の一部になっている可能性もある。
若年層の自殺という悲劇を減少させ、なくすためにも、家庭や学校はもとより、地域社会による、学校生活における学生・生徒への「目配り」は重要だ。(鷲尾香一)