青年ギャグ漫画でこそ伝えたい「やさしさ」と「絶望」そして「癒し」 ギャグ漫画家 田島シュウさんインタビュー(後編)

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家族にも、ペンネームは秘密にしている

「ペンネームは家族に友人にも言ってないんです」...... ギャグ漫画家、田島シュウさんが、そのベールを脱ぐ!?
「ペンネームは家族に友人にも言ってないんです」...... ギャグ漫画家、田島シュウさんが、そのベールを脱ぐ!?

――作品の評価として、読者のネット反応は見たりしますか?

田島さん「見ないようにしていますね。けなされても、褒められても、何らかの影響は受けちゃうので。好き勝手、自由に描くのが性に合っているのだと思います。じつは家族にも友人にも、ペンネームは言ってないです。『見られている』と意識しちゃうと、もう自由に描けなくなってしまう。自分自身で客観視して、おもしろいかどうかを判断しています」

――自分の作品を客観視するのは、難しいですよね。

田島さん「そのための工夫もあって。はじめはコマ割りをせず、文章だけでストーリーを書いて2週間寝かせるんです。で、2週間経ったら、改めて読み返します。その頃には自分がどんな内容を書いたかも忘れているので、冷静に客観視できる。そこで初めて『これを原稿にしよう』『これはボツ』って選ぶ感じです」

――ネタを寝かせると、客観的に判断できるんですね。常にストックがあるというのはスゴイです。

田島さん「時間が経って冷静にならないと評価できないので、余裕をもって制作していますね。そういえば僕は、原稿にした直後から、その原稿がおもしろいかどうか、わからなくなっちゃうんです。作品自体に何も感じなくなってしまう。だから、原稿を読み返すときも時間を空けます。正直に言うと、時間が経ってから読み直した作品の中でも、『これどういう意味?』って、自分で思うことがありますから......(笑)」

――自分でも理解できない作品もあるんですね(笑)。ちなみに、そういった制作のマインドも含めて、漫画家に向いている人はどんなタイプだと思われますか。

田島さん「人それぞれタイプは違うと思うんですけど、やっぱり『決意』みたいなものが大事じゃないかな、と思います。絵やシナリオが雑でも、『熱中して描いてるな』って感じる漫画はおもしろいんですよね。作品に出るんじゃないでしょうか。意味がわからなくても、伝わるものがあればいい。
『日めくり漫言』は、『笑えるだけじゃなくて癒やされる』とか、『優しい漫画』と言っていただくんですけど、生きるうえでの悲しさや厳しさ、絶望とかも描かれているので、ちょっと変わった作品を求めている人にはぜひ、読んでもらいたいです。これからも、ギャグ漫画ではありながら、なにか違う要素の入った作品を描いていきたいですね」

――ありがとうございました。

(インタビュー 生野あん子)


◆ プロフィール
田島シュウ(たしま・しゅう)
工場勤務から、フリーター生活を経て27歳で漫画家に。第334回スピリッツ賞佳作受賞。「田島シュウの日めくり漫言」のほか、「アイテムおばあちゃん」「こんな日もあったっていい」などの作品がWebで人気。初の単行本「田島シュウの日めくり漫言」を、小学館から発売する。
大阪府出身、35歳。
「やわらかスピリッツ」(小学館)
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