「景気が落ち込む角度は東日本大震災級、落ちる深さはリーマン級」
これから日本経済は、いや世界経済はどうなるのか――。
毎日新聞「世界同時不況の恐れ 米『大恐慌並み』見方も」は、1930年代の世界恐慌級の打撃に見舞われるというショッキングな分析を行っている。同紙は米国の2大シンクタンクの見方を紹介している。まず、金融大手モルガン・スタンレーはこうだ。
「米労働省が発表した3月21日までの1週間の失業保険申請件数は328万件に達し、過去最多を記録した。2月まで50年ぶりの低水準だった失業率の悪化は避けられず、モルガン・スタンレーは今年4―6月期の経済成長率が30%のマイナスに落ち込むと予測。1930年の大恐慌に匹敵する経済危機に陥るとの見方も出ている」
米金融大手ゴールドマン・サックスもリーマン・ショック時を上回る打撃になるだろうと、具体的な数字を出している。今回のコロナ・ショックで予測される成長率のマイナスと、2009年のリーマン・ショック時の成長率のマイナスを比べたのだ(カッコ内がリーマン・ショック時)。
(1)世界:▲1%程度(▲0.1%)
(2)日本:▲3.1%(▲5.4%)
(3)米国:▲3.8%(▲2.5%)
(4)ユーロ圏:▲9.0%(▲4.5%)
(5)中国:3.0%(9.4%)
※ リーマン・ショック時は国際通貨基金まとめ、コロナ・ショック時はゴールドマン・サックスまとめ。中国だけは両方とも成長率がプラス。
これを見ると、米国と欧州の打撃がリーマン・ショック時よりはるかに大きいことがわかる。また、世界経済をけん引する中国の成長率がリーマン・ショック時より低くなると予想されることもあって、世界経済の落ち込み幅がリーマン・ショック時の10倍になりそうだというわけだ。
毎日新聞は、日本政府内閣府幹部の
「景気が落ち込む角度は東日本大震災級、落ちる深さはリーマン級」
という見方と、英シンクタンクのパンテオン・マクロエコノミクスの
「今後データが恐ろしいことになるのは確実だ」
というコメントを紹介している。
(福田和郎)