「あと何分かかかるか聞いてきて」と指示は具体的に
「発達障害のある人は 言葉の裏にある意味を読みとるのが苦手。前田さんは『様子を見てきて』と言われたので、皆が準備をしている様子を見ていました。指示ができるだけ具体的なほうが動きやすいのです」
そこで改めて東ちづる課長は前田さんに指示を出し直したのだった。
東ちづる課長「前田さん、下に行ってコピーがあと何分かかかるか聞いてきて」
前田さん「はい。聞いてきます」
最後にみんなでこんな踊りを。
「ハッタツ、これでいいのだ。ハッタツ、これでいいのだ」
「なんだか不思議」「ちょっと変わっている」......そんなふうに思われがちな行動の背景には ASD(自閉症スペクトラム)などの発達凸凹があるのかもしれない。生まれつきの特性だが、日常生活に大きな困難を抱える人もいれば、ほとんどハンディーがわからない程度の人まで、さまざまなタイプがいる。周囲の人はその多様性を理解して楽しみながら付き合おうと呼びかけている。
東ちづるさんは、こう語っている。
「吹き出し笑いでNGもありという愉快な撮影現場でした。スタッフも出演者もみんなボランティア。愛と勢いとプロのスキルで、素敵な作品が完成しました。発達凸凹の皆さんを知れば知るほど、キュートでユニーク。もちろん戸惑うことも煩わしいこともあるけれど、それは人間同士なら誰しもあることです」
なお、世田谷区が作成した啓発動画はこの他に、「エピソード2:ハッタツ凸凹あるある 『正直すぎて冷や汗の巻』」と「エピソード3:ハッタツ凸凹あるある 『変化でパニックの巻』」がある。
(福田和郎)