相手の自尊心をくすぐる
相手の感情が理解できたら、人間関係を構築するための行動に移さなければいけません。それには、相手の自尊心をくすぐることが得策です。自尊心をくすぐるにはどうしたらいいでしょうか。
簡単に言えば、「ヨイショ」「ゴマすり」が近い意味になります。一般的にはネガティブな印象を持つ人が多いかもしれませんが、そんなことはありません。ふつうの人が嫌がったり、なかなかできないことにこそ、価値があるものです。
筆者はこれまで、「絶対にこの人にはかなわない」という人に出会ったことがあります。その人のやることなすこと、わかりやすすぎるくらいの「ヨイショ」「ゴマすり」なのです。それも極めれば、まったく嫌味にもなりません。むしろ尊敬に値します。
その人はH社に勤務する「ゴマすり男」(仮名)さん。「すり男」さんは、どちらかというと、カッコ悪い容姿。背は低く中年太り、髪は薄くファッションセンスも微妙。しかし、ゴマすりの腕前は天下一品なのです。
「社長! そのネクタイ、すばらしいセンスでいらっしゃいますね」と、ネクタイを褒めるのはゴマすりの代名詞のようなもなもの。しかし、「すり男」さんは臆面もなく、堂々とゴマすりの王道をいきます。所作やトークは磨きがかかり簡単にはマネできません。
「ヨイショ」「ゴマすり」は、社会的に必要とされるスキルです。いまの若い人はあまりしませんが、仕事を潤滑にすすめたいなら「ヨイショ」「ゴマすり」は必須でしょう。
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