東京都の小池百合子知事が記者会見で、「ロックダウン」の可能性を示唆して、不安や戸惑いが広がっています。実際に2020年3月26日時点で、世界人口の4分の1が何らかの「lockdown」状態にあると報じられています。
ニュースでは「ロックダウン」だの「オーバーシュート」だの、聞き慣れない単語が飛び交っていますが、果たしてその意味は......?
今回は、「英語で語るコロナウイルス」第2弾として、最新の時事英語をお伝えします。
たった2語でも話せる「東京五輪・パラリンピック延期」
新型コロナウイルスの勢いはまったく衰えることなく、感染の中心地はあっという間に中国から欧州、そして米国へと移り、全世界で甚大な被害を及ぼしています。
そんななか、とうとう2020東京五輪・パラリンピックの延期が発表されたり、日本でも小池都知事が「lockdown」の可能性に触れたりするなど、私たちの日常にもコロナ危機がひしひしと迫ってきました。
まずは、誰もが関心がある「この話題」を糸口に、英語にチャレンジしてみましょう。
postpone:延期する
The 2020 Tokyo Olympics was postponed to 2021
(2020年の東京五輪は2021年に延期された)
be postponed to:~に延期される
「postpone」は「延期する」という意味の単語です。「cancel」(中止)ではなくて「延期」になったことで、ホッとした方も多いのではないでしょうか。誰もが知っている話題ですから、今なら「Tokyo」「postpone」のたった2語でも十分に意思は通じます。悲しげな表情で言うとバッチリ! 表情も大切なコミュニケーションツールです。
とはいえ、東京五輪・パラリンピックの中止が発表されたとたん(!)、海外への渡航中止や東京都の外出自粛要請など、一気に空気が変わってきました。いきなり飛び出した「lockdown(ロックダウン)」とは、どんな意味なのでしょうか?
lockdown:都市封鎖
Tokyo governor Yuriko Koike warns of possible lockdown
(東京都の小池百合子知事は都市封鎖の可能性を警告した)
warn of~:~を警告する
私が「lockdown」というワードを知ったのは、中国・武漢の封鎖のニュースが最初でした。その後、イタリアが北部地区を「lockdown」した時には、相当ビックリしましたが、その後、フランス、ドイツ、スペイン、英国、そして米国やインド、オーストラリアやニュージーランドなど、ものすごい勢いで世界中に広がっている状況に、恐怖すら感じています。
今では、世界中のニュースが「lockdown」の話題ばかりですが、ケンブリッジ英英辞書によると、「危機的状況下で、人々が建物や空間に自由に出入りできない状態」という意味だそうです。
日本語では、「都市封鎖」と訳されることが多いですが、「行動規制」のほうが近いかもしれません。海外では、「Stay at home (家に留まれ)」がスローガンになっているように、「外出を控えてウイルスの拡散を防ぐ」ことが「lockdown」の狙いです。
India is under complete lockdown for 3 weeks
(インドが、3週間の都市封鎖に入った)
ちなみに、感染が拡大しているインドが「lockdown」に踏み切って「世界最大のlockdown」とニュースになっていますが、なんと13億人が対象になるとか!
海外ニュースを見る限り、「lockdown」下の生活はかなり行動を制約されているようですから、何としても「lockdown」の上陸は避けたいところです。
志村けんもチャールズ皇太子も、「セレブが感染しやすい」って本当?
新型コロナウイルスの特徴は、政治家や俳優、国際的ビジネスパーソンといった「セレブ」の感染が多いことです。たくさんの人に会ったり、国境を越えて活動したりすることが、感染リスクを増やしていると分析されています。
日本でも志村けんさんの感染が話題になっていますが、英国チャールズ皇太子が感染したというニュースは、さすがに衝撃が大きく、速報で世界中に流れました。
test positive:感染する、陽性が確認される
Prince Charles tests positive for coronavirus
(チャールズ皇太子がコロナウイルスに感染した)
感染が確認された人や疑われている人は、隔離生活に入ります。英語では「自主隔離」という表現を使っています。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんも感染の疑いで自主隔離していると明らかにしました。
self-isolation
Greta Thunberg is in self-isolation as she may have coronavirus
(グレタ・トゥーンベリさんがコロナウイルス感染の疑いで自主隔離している)
チャールズ皇太子とは反対に、陰性が確認されたのはトランプ大統領です。「positive」の反意語の「negative」を使います。
Trump tests negative for coronavirus
(トランプ大統領はコロナウイルス陰性だった)
「positive」「negative」の単語だけでも通じますから、ご安心ください。
日本で話題の「オーバーシュート」、海外では?
日本では、「オーバーシュート」という言葉が話題になっていますが、海外ニュースではあまり目にしません。一気に感染が広がる「爆発的感染」を意味する単語としては「outbreak」(アウトブレイク)や「pandemic」(パンデミック)が一般的です。
outbreak
London City Airport will shut due to outbreak
(爆発的感染拡大で、ロンドンシティー空港が閉鎖される)
「在宅勤務」を意味する「テレワーク」も、ニュースではあまり使っていません。テレワークは「オフィス以外で仕事する」という意味で、カフェなどでもOK。あくまでも「自宅勤務」を意味する言葉としては「work from home」になります。
work from home:在宅勤務
Apple CEO Tim Cook tells office employees to work from home
(アップル社CEOのティム・クックは、従業員に在宅勤務を命じた)
前回ご紹介をした「death toll」(死者数)「epicenter」(中心地)も相変わらずニュースを賑わしています。いい話題ではないので、あまり目にしたくないですが......。
death toll:死者数
Spain's death toll surpasses China's
(スペインの死者数が中国を抜いた)
epicenter:中心地
US could be next 'epicenter'
(次の感染中心地は米国かもしれない)
日本も「epicenter」になり得るのか......。とにかく早く終息に向かって欲しいと願うばかりです。(井津川倫子)