東京2020オリンピック・パラリンピックはシニア人材にとって大きなチャンス
―― 不安の解消やギャップを埋めることが必要だったということですね。
宇佐川さん「こうした『見えない不安』を『見える化』して、企業とシニア人材をマッチングさせるために、『からだ測定』というプログラムを開発しました。これは30分程度で、簡単な体力測定をしたり、タブレットに入力したりすることで、シニアの『体力』、『処理能力』、『個性』がわかるというプログラムです。
この結果をもとに、企業が求めるポジションと、それに必要な能力をもつシニア人材とのマッチングが可能になります。
また、企業側でも、これまで一人で担ってきた業務を細かく分解して、複数人に振り分けるといった必要も出てくるでしょう。
たとえば、コンビニ店員なら、レジ打ち、受付、接客、掃除、品出し、発注などさまざまなタスクがあり、それぞれに求められる能力は異なります。すべてのタスクができる人を探すのではなく、細分化されたタスクをこなせる人を、測定結果に基づいて採用するというように利用できるわけです。一度、採用がうまくいけば、こうした人材活用はどんどん進みます」
―― 人材活用といえば、東京2020オリンピック・パラリンピックでも、警備などの人材不足の懸念などを見聞きしますが、リクルートグル-プではどのようなかかわり方をしているのでしょう。
宇佐川さん「リクルートは、東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーです。リクルートの求人情報メディア『タウンワーク』を通じて、大会に関わる仕事の求人情報を掲載しています。大会では、飲食、警備、物流、清掃などの分野を中心に、多くの業種で人材が必要になります。完全失業率が、過去最低という状況の中で、人材確保は大きな課題ですが、これまで思うように進んでこなかったシニア人材の活用という観点では、大きなチャンスといえるでしょう。
東京2020大会に関連した仕事だけを見れば短期間の仕事ですが、『東京2020大会を契機にシニア人材の登用を進めて、その後のキャリアにもつなげることができたら』と、企業とも話しています」