シニア人材の積極活用へ 履歴書から「年齢欄」をなくしたい! リクルートジョブズ ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子さんに聞く

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   日本の人材不足の声が聞かれるようになって久しい。そのソリューションのひとつとして、主婦層やシニア層の就業促進が図られてきたが、シニアに至っては、想定どおりには進んでいないのが現状だ。

   多くの外国人の来日が期待される東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日本らしい「おもてなし」サービスやさまざまな日本製の品々を提供していくためにも、企業にとって人材の確保がより大きな課題となっている。シニアの労働力も欠かせないというわけだ。

   シニアの積極的な就業を阻んでいる「見えない不安」を可視化するプログラム「からだ測定」を開発し、雇用促進に取り組んでいるリクルートジョブズ ジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子さんに、シニア人材の雇用について聞いた。

  • リクルートジョブズの宇佐川邦子さんは「見えない不安を可視化する「からだ測定」を開発した
    リクルートジョブズの宇佐川邦子さんは「見えない不安を可視化する「からだ測定」を開発した
  • リクルートジョブズの宇佐川邦子さんは「見えない不安を可視化する「からだ測定」を開発した

雇用者とシニア、双方が不安な「健康」状態

―― 雇用領域に関して、ここ数年の傾向や課題などはありますか。

宇佐川邦子さん「日本では近年、人手不足がうたわれていますが、これは人口構造の変化の問題です。若者が減ってきており、従来働ける人たちは、もうすでに働いている。そんな中で、どのように会社を継続させて、産業を支えていくかというのが日本の課題になってきています。
こうした課題を解決するためには、シニアはもちろんのこと、ママや学生たちに参加してもらう、ということが重要になってきます。まずは、働き手の数を増やすこと。つまり、現在、労働参画できていない人たちに、社会に出てきてもらい、その後、そういった方たちにトレーニングなどを受けてもらって、質を高めていくということが必要なのです。 リクルートジョブズは、こうした潜在的な働き手の方たちのために、多様な働き方をたくさん作って、多様な人に活躍してもらえるような枠組みづくりに、取り組んできました」

―― そうした取り組みは順調に進んでいるのでしょうか。

宇佐川さん「2012年後半から13年にかけて、メディアなどでも、ママやシニアの労働力の活用がうたわれ始めました。両者ともに共通していたのが、『時間に制約があること』。そこで、企業と協力して短時間勤務という働き方をつくり、啓発しました。ママたちの雇用促進は、2年ほどかかりましたが、順調に進み、一方で同じように啓発したにもかかわらず、シニアの雇用は同じようには進みませんでした。
『高齢』は誰にでも訪れるものなので、本来、雇用者側も当事者意識になりやすいはずなのに、一向に雇用が進まないのが、本当に不思議でした。そこで、いろいろと調べていくと、その理由には、雇用者側もシニア自身も、『加齢による見えない不安』があることがわかったんです。
企業側の不安としては、『身体能力の低下』『認知能力の低下』『性格特性』の3つがありました。たとえば、ケガをしやすいんじゃないか、物覚えが悪いんじゃないか。または、偉そうな態度をとられたらイヤだな、職場にうまく溶け込めるだろうか、といったものです。
シニア側にも、『自分の体力や認知力がどうなっていくかわからないため、迷惑をかけてしまうかもしれない』といった不安がありました。また、ずっと会社で活躍されてきた方は『これまでの経験や知見を活かしたセカンドキャリアを見つけたい』という希望をもっているものの、その経験や知見は、いま求められているものとズレている場合があることもわかったのです」
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