「ぶっちゃけ、うちの会社の志望度低いですよね?」――。ある会社の3次面接で、こんな質問を投げかけられた。
なんだ!? その自虐的な質問は?? そして、私は答えに詰まってしまった。頭の中が混乱した。突然、「ぶっちゃけ」られたら、こちらもぶっちゃけちゃうじゃないか! 危ない危ない......。
正直に言うと、その会社は今のところ「第一志望」ではない。でも、だからと言って1ミリも働きたくないと思っているのならば、時間をかけて3次面接にまで進んだりはしない。
足を運び続けたと言うことは、少なくとも志望はしているということだよなぁ。なんて考えているうちに、答えるタイミングを完全に逸したと思った。もう遅い。被せるくらいの勢いで「御社が第一志望です!」と目をキラキラさせながら言うべきだった、なんて思っても後の祭りである。はあ、やっちゃった......。
嘘も方便で「第一志望」宣言すれば、よかったの?
「うちの会社の志望度低いですよね?」という質問に、最高の答えはやはり「いえいえ、御社が第一志望です」と、宣言することなのだろうか――。私は嘘をつくのが苦手だ。というか、思ってもないことを口にすると、まったく感情が入らなくなるので、すぐバレると思う。
「嘘も方便」というが、私は自分に嘘はつきたくないし、正直な自分で面接に臨まないのは企業に対しても、「失礼+ミスマッチ」の根源だと思うので、できるだけ取り繕わずにいたい。それに、答えに気持ちが入っていないことが面接官に伝わってしまったら、余計に印象が悪くなってしまう気がするのは、私の考えすぎだろうか。
でも、だからといって、「御社が第一志望です」と言い切れない学生を、わざわざ採用してくれるほど、就活は甘くはないのもわかっている。
もし、私が面接官の立場だったら、そんな学生よりも「ここじゃなきゃ嫌なんです!」と宣言してくれる「熱い」学生を採用したい。
第一志望でなくても構わないから、とりあえず「内定を出したい」と企業に思わせることのできるスーパーキラキラ就活生もいるのかもしれないが、それはきっとほんのひと握り。悲しいかな、少なくとも私はそれには当てはまらない。
企業の採用担当者は、新卒採用に多額のお金をかけ、時間を割いている。それなのに「御社が第一志望です」と宣言できず、熱意の伝わらない学生。いわゆる「内定蹴り」しそうな学生に、内定を出さないというのはきっと当然のことだし、合理的なのである。
10秒間の沈黙の後に導き出した答えが......
この文章は、わりと自分への戒めのために書いている。いくら嘘をつきたくない、思ってもないことを口にしたくないと言ったって、それはきっと私がまだまだ甘ちゃんなのだということもわかっている。
私はまだ社会に出て働いたことがないから、想像でしか語ることができないが、社会人になったら自分の意見や思いと違うことでも、さもそのとおりのように話さなければならない場面に出くわすこともきっとあるのだろう。
その時に、今の私のスタンスでは、やっていけないのだ。たぶん。「御社が第一志望です」宣言は「嘘」というよりもきっと、ビジネスパーソンの「ビジネスハック」の第一段階なのではないかなと思ってみたりする。
なんてちょっと偉そうなことを言ってみたが、そうは言ってもやっぱり私は言えない気がするのだ。少なくとも今の私には(そう、頑固なのです)。ならばどうするか。思い浮かぶ答えは、ただ一つ。
自分が第一志望だと、心から宣言できる企業の選考や面接のみを受けることだ。
......いや、でもなあ。さすがにリスキーだし、そこまでの勇気はちょっとないなあ。第一志望にこだわりすぎて、どこにも就職できなかったら元も子もないしなあ。さて、どうしたものか。
どの就活生も、本命の企業のほかに、いくつか選考を受けるのではないかと思う。そんな時、こんなぶっちゃけ質問を投げかけられたら、あなたはどう答えるだろうか?
ちなみに、私はこの質問を投げかけられて、約10秒間の沈黙を続けたのちに「まだ第一志望とかわからなくて、どこも同じくらい働きたいと思っています」と、満面のキラキラ笑顔(のつもり)で答えた。
なんだその答え......と、面接が終わってから自分にツッコミを入れた。面接官の不意打ちにやられた! のだ。まだまだ修行が足りなかった。
とはいえ、まあ、でもこれはこれで「自分の気持ちに嘘はついてない!」と、気持ちを切り替ることにした。次は、がんばるぞ!(叶多凛)