新型コロナウイルスの感染拡大は中国から欧州、北米へとその中心地が移り、景気悪化の懸念が増大するなか、世界の株式市場でリスク回避の「売り」が広がっている。米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は2万ドルの大台を割り込んだ。
連邦公開市場委員会(FOMC)は緊急で政策金利を引き下げ、実質ゼロ金利に踏み切ったが、市場の混迷は続いている。東京株式市場の日経平均株価も、一時1万6000円台まで急落。世界中でリスク資産を整理する動きが続いている。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 注目される東京五輪のゆくえ
日経平均株価予想レンジ:1万5500円~1万7500円
2020年3月19日(金)終値 1万6552円83銭
今週の日経平均株価は、引き続き、不安定な動きとなりそうだ。
前週の日経平均株価は、日本銀行とFRB(米連邦準備制度理事会)による追加金融緩和が発表されたにもかかわらず、一時3年4か月ぶりに1万6000円台まで下落。6週連続安となった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済の悪化に対する懸念が続いた。
今週の日経平均株価は、引き続き不安点な動きが予想される。新型コロナウイルス関連で世界経済の悪化懸念が高まるようであれば、1万6000円割れも視野に入ってきそうだ。
特に、国内企業の業績悪化や、注目される東京オリンピック・パラリンピックの開催に関して、延期や中止といった動きが出るようだと、日経平均株価は大きく下落する可能性がある。
半面、新型コロナウイルス対策で、政府が新たに予防・治療面や経済対策を打ち出せば、大きく反発する可能性もある。
東京外国為替市場 米大規模経済対策への期待度は?
ドル・円予想レンジ:1ドル=109円30銭~112円50銭
2020年3月19日(金)終値 1ドル=110円80銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが堅調地合いを維持しそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが上昇し1ドル=111円台を回復した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リスク回避の資産売却でドル資金需要が高まっている。加えて、米国政府が大規模経済対策の実施を検討していることや、米国の長期金利が上昇したこともドルの支援材料となった。
今週のドル円相場は、引き続き、ドルが堅調な動きとなりそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大に起因したリスク回避の資産売却が続いており、ドルの資金需要が強い。加えて、米国政府の大規模経済対策が具体化することで、ドルの買い材料となりそうだ。
ただ、米国の経済対策が市場の予想を下回るようであれば、再び、ドル売り・円買いの動きが強まる可能性があり、注意が必要だろう。
経済指標は、国内では24日に1月の景気動向指数、25日に3月16日開催の日銀金融政策決定会合議事録などが予定されている。
海外では、24日に2月の米国新築住宅販売件数、25日に2月米国耐久財受注、26日に2019年10~12月期の米国GDP確報値、27日に2月の米国個人所得と米国個人支出などが予定されている。
なお、27日は株式の3月期末の権利付き売買の最終日となる。
(鷲尾香一)