「オンライン社内飲み会」に就活生を招待 ウェブ説明会の「伝わらない」「物足りない」を補う

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   感染が拡大する新型コロナウイルスは、企業がこの3月にスタートした2021年春に卒業する学生の採用活動にも影響を与えている。

   1か所に就活生を集める説明会や対面で行う面接を中止して、ウェブに切り替えるケースが増えている。三重県四日市市のサンエイ工務店では、そんなウェブの利用を一歩進めて、「オンライン社内飲み会」に就活生を招待。そのアイデアに注目が集まっている。

  • サンエイ工務店本社と山下友和社長
    サンエイ工務店本社と山下友和社長
  • サンエイ工務店本社と山下友和社長

セミナー会場を急きょキャンセル

   サンエイ工務店の就活生を招いた「オンライン飲み会」が開かれたのは、2020年3月17日の19時から約1時間。会社側からは同社が中核になっているサンエイグループの山下友和社長のほか社員6人の計7人が出席。就活生は、就活サイトを通じて事前に予約した3人(男性2人と女性1人)が参加した。

   同社のこれまでの新卒採用は、3~4月に4回か5回、名古屋の施設でセミナーを行い、インターンシップや面接に進むという流れだった。ところが今回の、来春卒業の就活生の採用は、スタート時期と前後して、新型コロナウイルスによる感染拡大が加速。予定していた会場を使ってのセミナーをキャンセルし、他の企業と同じように急きょウェブによる採用活動に切り替えた。

   慌ただしく作業を重ね、3~4月に計4回、ウェブを使った説明会を設定。「オンライン飲み会」に参加した就活生は、3月のオンライン説明会に参加した3人だった。

   採用担当の営業部の橋本美紀さんによると、同社が採用でウェブを使ったのは今回が初めて。会場で就活生とリアルに接するのと違って、ウェブではうまく会社の考えを伝えられていないとの感触をもっていた。就活生側も、物足りなさを感じていることが伝わってくる。ウェブだけの説明会ではカバーできないところを補える何かサブチャンネルはないかと検討していたところ、山下社長が就活生を交えた「オンライン飲み会」を提案したという。

ウェブの利用「採用市場」の拡大期待でいいかも!

   山下社長は、

「新型コロナの影響でセミナーが中止になり、会社と就活生がお互いを知る場はウェブだけになってしまった。もっと会社のことを知ってもらう手段はないかと考えた」

と話す。

   会社訪問の機会がつくれないなか、いわばバーチャルな会社見学の場を設定。しかも、飲み会という「本音」が出やすい、よりリアルな雰囲気の中で会話も進み、試みは成功だったという。

   「飲み会」の会場は、本社ビルの一室に設定。就活生らとはチャット機能を使ってやり取りした。社員らが、「サンエイ工務店の魅力」や「会社の雰囲気」など、あらかじめ決められた「お題」に応じてアピールすると、就活生は「大学生活」などを中心に自己紹介を披露して、大いに盛り上がった。

   参加した就活生には、会社からLINEペイを使って「300円まで」飲み代を支給した。

   サンエイ工務店は、公共インフラの整備や再生可能エネルギー関連の事業を手がけ、東海地方を中心に事業を展開しているエンジニアリング企業。毎年の新卒採用も、近隣地域の大学生が中心だ。

   当初は、コロナ禍による次善策として取り入れたウェブの採用活動だが、山下社長は、今回の「オンライン飲み会」に好感触を得て、採用市場を広げられるのではないかと、期待している。

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