日本の管理職は「アマチュア」ばかり? プロにならないとグローバル化のなかでは生き残れない

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アウトバウンドM&Aでもプロ不足

   グローバル競争の激化により企業を取り巻く環境が変化した現代では、Aさんが経験したようなことは誰にでも起こり得るという。「あなたを取り巻く状況が変化したとしても、どんな環境でも常に正しくチームを動かし、成果を出せるチームリーダーとなることが、新時代のリーダーには求められる」と小早川さん。

   近年は、日本の会社が海外企業の傘下になるだけではなく、「アウトバウンドM&A」と呼ばれる、日本企業による海外でのM&Aが増加しており、M&Aコンサルティング会社の調べによると、2018年の日本のM&A総投資額は過去最大の2640億ドルで、そのうちアウトバウンドM&Aは約1680億ドルと6割を超えた。

   この動きは、人口減少で国内市場が縮小するなかで、海外でのビジネス拡大を狙ってのもの。ところが、せっかくアウトバウンドM&Aを実現させても、経営統合がなかなかうまくいかず、多くの企業で買収の効果を期待どおりにあげられていないのが現状という。

   その原因の一つは、プロリーダーの不在だ。国内でのM&Aなら、日本の企業同士で「あうんの呼吸」で意思疎通を図りながら、とくに急ぐことなく統合が進められていくのが一般的。だからプロリーダーはいらないかもしれないが、海外M&Aではそういうわけにはいかない。

   海外ではたいてい、買収先の企業に対して素早く事業の見直しを迫り効率化を図るもの。相手先の企業はそのつもりで待っているところに日本の独特のモードが持ち込まれて腰砕けとなり、マネジメントもオペレーションもうまくいかなくなるというわけだ。

   本書では、日本人の「アマチュアリーダー」2人が勤務するメーカーを、香港の競合メーカーが買収し、米国人と英国人の「プロリーダー」2人が、新しい経営幹部として乗り込み、それぞれの経営プロジェクトへの取り組みを通して、プロリーダーの在り方や、どのように企業の経営再建を進めればよいのかが書かれている。

   「プロリーダーは新聞を読むな。ほかの人同じ情報は不要」とし、その代わりに読むべきものを紹介するなど、ディテールにまで踏み込んだ指南、解説が随所にあり、一冊を通して解説は非常に具体的でわかりやすい。

「ハーバード・MIT・海外トップMBA出身者が実践する 日本人が知らないプロリーダー論」
小早川鳳明著
PHP研究所
税別1500円

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