世界同時株安 新型コロナ「パンデミック」が「最悪の相場」でないワケを言おう(小田切尚登)

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「明るい未来」は我々一人ひとりの「頑張り」にかかっている

猛威をふるう新型コロナウイルス(国立感染症研究所提供)
猛威をふるう新型コロナウイルス(国立感染症研究所提供)

   今回の騒ぎでとりわけ大きく影響を受けているのは、娯楽、旅館、航空などの業界である。しかし、今回のことが原因で、人々がこれから10年、20年という期間にわたって旅行に出るのを控えたり、スポーツ観戦をやめてしまったりなどといったことが起きるはずがない。早晩これらの業界に客が戻っていけば、企業収益も復活する。そうだとすれば、今のような安い株価は(理論的には)おかしいわけで、投資家がパニック売りを止めれば株価も戻していくのではないか、と考えられる。

   大地震や戦争や恐慌などが起きると、人々はこの世の終わりだと思ってしまうのはやむを得ない。実際、経済を復活するまでに数年から十数年かかるケースも多々ある。これがほぼ最悪のシナリオだろう。

   しかし、経済は中長期的には必ず復活してきた。まして今回は、とてもそれだけのダメージが発生したとは思えない。仮に本当に世界経済が崩壊したらあきらめるしかないだろうが、そのような「この世の終わり」が来たら、株価云々のレベルの話ではなくなる。

   「明日死ぬかもしれない」ことを心配するのは生産的ではない。我々は明るい将来を築いていくような思考をすべきだ。

   今回の新型コロナウイルスの影響は、中国を始め多くの国で収まりつつある。これから気候が温暖になると危機的な状況は徐々に去っていくのではないか。それ以降も拡散は続くだろうが、いずれは体内に抗体が出来るかワクチンが開発されることで巡航速度に落ち着くであろう。

   今後も数年に一度はこのような世界的流行が起きることが予想される。これを短期間に根絶させることは不可能であり、我々は感染症とうまく共存しながらダメージを最小にすることを目指すしかない。

   しかし、それは十分可能ではないかと考える。数十年のスパンでみると感染症の死者は着実に減少してきた。医療の発達、衛生の改善などの、さまざまなことがそれを可能にしている。今後さらに明るい未来が開けるかどうかは、我々一人ひとりの頑張りにかかっている。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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