「東京五輪・パラリンピックは『呪われたオリンピック」――。麻生太郎財務大臣の、この発言が瞬く間に世界中に広がっています。
麻生大臣といえば、これまでも数々の「問題発言」で物議を醸してきましたが、今回ばかりは「世界を股にかけて」超ド級のインパクトを与えてしまいました。
一方、IOC(国際オリンピック委員会)や日本政府の「予定どおりの開催」に固執するスタンスには、著名アスリートからも「選手を危険にさらすな」「空気を読めよ!」といった非難が高まっていて......。何だか本当に「cursed」(呪われた)ムードが漂ってきました。
麻生発言は日本政府の努力をぶち壊した?
麻生太郎財務大臣は、新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックの延期や中止の懸念が高まっていることに関連して「呪われたオリンピック」と発言しました。まずは、この麻生大臣の発言が英語ではどう訳されたのかを見てみましょう。
It's a problem that's happened every 40 years - it's the cursed Olympics - and that's a fact,"
(40年ごとに問題が起きてきた。「呪われたオリンピック」だ。これは事実ですよ)
curse:のろい、呪う
「呪われたオリンピック」は「cursed Olympics」と英訳されています。「curse」は「人などに災い・不幸がふりかかるようにと、呪う」という意味です。中世の魔術師が呪いをかけているような、おどろおどろしいイメージが浮かびます。
「呪われている」のかどうかは別にして、40年周期でオリンピックが中止もしくはボイコットといった問題に直面してきたのは事実です。1940年の開催都市は夏季大会が東京、冬季大会は札幌で予定されていましたが、日中戦争の拡大で返上に追い込まれました。さらに、1980年のモスクワ五輪は米国や日本がボイコットして一部の参加国で実施したという経緯があります。
この「呪われた五輪」発言を、各国のメディアが瞬時に報道。アッという間に世界に広がりました。
Forty‐Year Cycle: Top Japan Minister Calls 2020 the 'Cursed Olympics'
(40年周期で訪れる。日本の最高位大臣が東京大会を「呪われたオリンピック」と発言した:ロイター通信)
Forty year 'curse' hits Tokyo Olympics
(40年周期の「呪い」が東京五輪を襲っている:Radio New Zealand)
多くのメディアは、新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックの中止や延期といった臆測が広まるなか、「必死に『通常開催』を主張している日本政府」の副首相の「問題発言」は、「波紋を広げるだろう」と否定的に報じています。
少なくとも、大会開催の行方をめぐって不安な日々を送っている選手や各国のスポーツ関係者にとっては、配慮がない発言であることは間違いないでしょう。