若き店主が築き上げた等身大の店は、音楽と人間への「アナログ」な愛情で満ちていた(Vol.9「Rock on King」)

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オススメの一冊は思い出深い「ROCKIN'ON JAPAN」

オススメは今井さんも大好きだという「エレカシ」のロングインタビューが掲載された「ROCKIN'ON JAPAN」
オススメは今井さんも大好きだという「エレカシ」のロングインタビューが掲載された「ROCKIN'ON JAPAN」

   売れ筋商品は、クイーン初来日コンサートのパンフレット(1975年)だ。

「元々ファンの多いクイーンですが、再ブームの影響もあってクイーン関連のものは人気です。お店を始めた頃から、クイーンファンのお客さんにいろいろと教えてもらいましたね。商品も様々でファンクラブの会報なども取り揃えています」

   エレファントカシマシの宮本浩司さんが好きだという今井さんのオススメの本は、デビュー当時のロングインタビューが掲載された「ROCKIN'ON JAPAN」だ。当時ほとんど無名だった彼らをピックアップしたのがこの雑誌で、今でも探す人が多いという。当時「ROCKIN'ON JAPAN」に魅了され、愛読者であった今井さんにとっても思い出深い貴重な一冊。

「店を始めて、お客さんとのやりとりからどんどん商品の幅が広がっていきました。お客さんに喜んでもらえるお店を目指しているうちに今の形になっていったんです」

   今井さんのお話から感じるのは周囲から学ぶ柔軟で前向きな姿勢だ。そして話のうちに繰り返されるのは、周りへの感謝。

「お客さんや先輩方、『人とのつながり』でここまで来られたんだと思います。今は情報が溢れていてスピードも速い時代。お客さんもネットで調べてから来られる方が多い。だからこそ、この店ではそこから抜け落ちているような『おもしろさ』を拾い集めて、お伝えできればと思っています。これからもそういうアナログな、人間同士のコミュニケーションを大切にしたい」

と、ストレートな言葉でにこやかに語る。

   ロック オン キングはこれからもお客さんのため、ロック音楽のために、商品の魅力を発信し続ける場所であり続けるのだろう。

   今井さんのシャキッと伸びた背筋が、そう感じさせた。(なかざわ とも)

こじんまりとした店内は本以外にもさまざまな商品が並ぶ
こじんまりとした店内は本以外にもさまざまな商品が並ぶ
なかざわ とも
なかざわ とも
イラストレーター
2016年3月学習院大学文学部卒。セツモードセミナーを経て桑沢デザイン研究所に入学、18年3月卒業。趣味は、宝塚歌劇団、落語、深夜ラジオ、旅行。学生時代より神保町に惹かれ、現在フリーペーパー「おさんぽ神保町」の表紙や本文のイラストを手掛けている。1994年、東京都生まれ。
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