IOC、それとも東京?「誰が最初に中止を言い出すか」のガマン比べ
それでも、海外メディアの報道を見る限りでは、批判の矛先は日本(安倍首相)よりもIOCに向けられているようです。プロセスを明らかにせず、ひたすら「延期も中止もない」と強気発言を繰り返す関係者に不信感が強まっているようです。
Can Olympic organizers be trusted to make the right call on Tokyo Games?
(オリンピックの関係者たちは、東京五輪について正しい決断をすると信用できるだろうか?:USA TODAY)
make the right call;正しい決断をする
The IOC still insists the Olympics are happening - they are living in fantasyland
(IOCはまだオリンピックを行うと主張している。彼らはおとぎの国に生きているのだろうか)
もちろん、オリンピック開催の裏には、米NBCの放映権料をはじめとする巨額の資金が動いていて、中止か延期に至ったときには、莫大な経済的損失が発生することは周知の事実です。一説によると、IOCもNBCも不測の事態を想定して保険に加入しており、損失は最小限にとどまる、とも。
それでは、誰が最終的な判断を下すのでしょうか?
英BBC放送のスポーツ編集長は、「IOCが権限を握っているが、IOCはWHOの専門家や日本政府の助言に従って動くことになる」としています。そして、「WHOか日本政府がIOCに大会続行は無理だと告げるまでは、IOCが延期や中止を急ぐことはない」と予想しています。中止や延期の判断は「将来的に他の都市の立候補を妨げてしまう可能性があるから」だそうです。
こういった状況を、米メディアのUSA TODAYは次のように報じています。
Not in terms of the contract, just in terms of who blinks first
(契約の問題じゃなくて、誰が真っ先に屈するか、の問題だ)
blink:まばたきする
IOCか、WHOか、それとも日本政府の誰が真っ先にガマンできなくなって瞬きをしてしまうのか――。そんな「ガマン比べ」モードに入っているようです。
これまで数々のトラブルを乗り越えてきたIOCのバッハ会長は「ガマン比べ」にも長けていることでしょう。それでも、世界各国で代表を決める選考試合が相次いで延期(もしくは中止)になっているような「危機的な状況」に、アスリートからの悲鳴は増すばかりです。
果たして、誰が「ガマン比べ」にピリオドを打つのか。ここ数日の動きに大注目です。
◆ 新型コロナウイルス注目ワードVo1.5「panic buying」(買い占め)
残念なことに、世界中で「panic buying」(買い占め)による騒動が起きています。オーストラリアのスーパーでは、商品を奪い合って相手にケガを負わせた男性が逮捕されるといった事件がありました。
Coronavirus 'panic buying' hits Australian supermarket
(オーストラリアのスーパーで、コロナウイルスによる買い占め騒動が起きた)
人々が「買い占め」している商品は、トイレットペーパーが万国共通のようですが、欧米ではパスタが真っ先に棚から消えているようです。パンよりも保存が利くパスタの方が、非常時にはニーズがあるのでしょうか。(井津川倫子)