2019年12月、中国・湖北省武漢市で初めて感染が確認された新型コロナウイルスが、約3か月経過した今も世界的な感染拡大を見せ、いまだ収束の目途は立っていない。世界保健機関(WHO)は20年3月11日、「パンデミック」を宣言。国際社会にさらなる対策強化を呼びかけた。
世界中の株式市場が乱高下するなか、この下げ局面で、これまで買えなかった「良品計画」に「買い」を入れた。「節分天井・彼岸底」「総悲観は買い!」という格言があるではないか! それに乗ってみた。
これは絶好の「買い場」だ!
中国発の新型コロナウイルスが、瞬く間に日本や韓国、米国西海岸へと拡散し、3月3日には米国の政治・経済の中心である東海岸のニューヨークにも感染者が出るに至った。この間、国内総生産(GDP)第1位の米国、2位の中国、3位の日本に、ウイルスが拡散するような事態になれば、それが「パンデミック」の始まりの契機になるのではないかと考えていた。
その一方で、報道によると発生源の中国では感染拡大に鈍化傾向がみられ、企業の生産活動も徐々に再開されてきているという。中国の今後の動向が気にかかる。
感染拡大を防止するうえで、特効薬やワクチンが開発されていない状況で、人の移動を規制する以外に、有効な感染防止の方法の見いだせていないのが現状。イタリア、フランス、ドイツ...... と欧州へとウイルスが拡散して、事実上の「国境封鎖」まで始まったことで、いよいよ世界経済への悪影響が懸念される事態になっている。これを受けて、世界の株式市場は大幅に下落している。
とはいえ、新型コロナウイルスの問題は大地震や大型台風などの自然災害と異なり、生産設備に被害はない。特効薬やワクチンの開発で、明確な対応策がわかり、収束のメドが立てば、生産活動はすみやかに再開され、世界経済の早期回復は可能ではないかとも考えられる。
株式市場は6か月先を見て動くといわれていることを考えると、このあたりが「良品計画」の買い時と考えた。
「セイリング クライマックス」は終わりに近づいている
株式投資の格言に、「高値の半値、8掛け、2割引」がある。これは「天井を付けた後、下落局面に入った時に、底の水準を判断する目安とされる相場」という意味とされる。根拠は定かでないが、高値×0.5×0.8×0.8=0.32で3分の1程度まで下げるらしい。
この格言に基づくと、良品計画株は高値4万1200円の半値2万600円、8掛けの1万6480円、2割引の1万3084円辺りが底値と考えられる。米東海岸のニューヨークで感染者が出たと発表のあった3月3日、良品計画株を1450円で100株、買いを入れた(同社は2019年8月31日時点の株主に対して1株を10株に株式分割を実施している)。
1株1400円台まで下げてくると、下値は限られており、上昇の可能性のほうが大きいと考えた。
良品計画株の取得後も、新型コロナウイルスの感染拡大は、米国やヨーロッパ諸国など、南極を除く全世界へとさらなる広がりを見せている。経済活動が停止しそうな状況に、資金繰りに詰まった企業の倒産も心配される状況になってきた。
米ニューヨーク株式市場のダウ30種平均株価の乱高下を受けて、3月16日には米連邦準備制度理事会(FRB)が1%の緊急大幅利下げを発表。これを受けて日本銀行も同日正午から前倒しで金融政策決定会合を開き、2016年7月以来約3年8か月ぶりに、上場投資信託(ETF)買い入れの年間目標額を現行の6兆円から「当面12兆円」に拡大する、追加の金融緩和を決めた。
「総悲観は買い」「節分天井・彼岸底」という格言もある。そろそろ、「セイリング クライマックス」も終わりに近づいているのではないだろうかと考えるのは、早計だろうか。
良品計画の株価は、「高値の半値、8掛け、2割引」の価格となる1300円をも下回っている。(石井治彦)
【良品計画(7453)】
2020年3月17日現在 保有100株 平均取得単価1469円25銭
年初来高値 2020年1月10日 2654円
年初来安値 2020年3月13日 1076円
直近 終値 2020年3月17日 1144円
石井治彦(いしい・はるひこ)
投資歴25年。「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。情報源はもっぱら会社四季報や日本経済新聞、経済誌など。また、株主総会やIR説明会にはできるだけ顔を出すようにしている。
東京都出身。