対外政策と内部対応には違いがあって当たり前
入国制限措置に関しては、もう一つ余計な問題を引き起こしています。中国と同時に行った韓国に対する入国制限措置です。ただでさえ微妙な関係にある韓国です。新型コロナの発生源である中国と、同時かつ同レベルの入国制限措置をとったことで、先方からは「敵意ある対外措置」と受け取られ対応措置を講じられることで、不要な軋轢を生じさせることになりました。
韓国との関係は現政権下でこれまでも一進一退が続いており、その点を熟慮した対応の検討並びに、トップ間での事前の根回しが必要であったと考えます。
新型コロナ関連の対外政策で、政府が後手後手に回っているとの批判をかわす意味からと思しき政策として、2月27日夜に突然発表された「小中高校の一斉休校要請」という措置がありました。
実行は週明けの3月2日から。一部でこの対応を評価する声がある半面、あまりに突然の要請に、教育現場や市町村長、子育て世代の親からは大きな批判を招いてもいます。ここには、入国制限などの対外的な要因とは異なる問題があります。
内部対応に関しては、やった場合、やらなかった場合それぞれについて、どのような効果や問題があるのか、ある程度容易に想像がつく問題でもあるのです。学校での感染が問題化していない状況下で、少なくとも数日間は各方面の調査を行なったうえで最終判断を下すという流れでも、問題はなかったように思えます。
すなわち、すでに問題化して早期に決断すべき対外的対応を、どっちつかずのまま先延ばしし、問題化していない内部的対応を可能な調査を経ずに即決して急ぐというのは、有事対応のセオリーから外れていると言えます。