就活ルール廃止のニュースの存在を、果たしてどれだけの人が認識して、その本質を理解しているのだろうか――。
軽く確認しておくと、従来は日本経済団体連合会(経団連)に加盟しているような大手日系企業は決められたスケジュール(3月1日広報解禁、 6月1日選考開始、 10月1日内定)にそって採用活動を行うよう、いわば罰則なしの紳士協定が結ばれていた。
しかし、これには経団連に加盟しておらず、独自の採用体制を敷く外資系企業やベンチャー企業に優秀な人材を先に囲われてしまうというジレンマがあった。
そこで、今回の変化である。
インターンシップは採用選考に関係ないんじゃないの?
経団連による「就活ルール」を事実上廃止することで、日系大手企業が自社の好きなように採用活動を展開することが可能となった一方で、われわれ学生の就職活動はより複雑化していくことが避けられなくなってきた。
ただ学生にとって、さまざまな企業の採用活動の状況を一括して把握できなくなったのは不便だと思うが、正直言って学生にとっても今回の「変化」は悪いことばかりではないと思っている。
企業のインターンシップ機会が増え、より社員や企業と密接に関わり合うことで企業と自分の相性を的確に見極めることができるようになった。とはいえ、2020年卒には政府側が企業に対して、一応スケジュールを順守するよう要請しているため、企業の体裁と実情が交錯する、チグハグな場面に出くわすことが多々あって、正直面食らった。
たとえば、「インターンシップは、当社の採用選考には一切関係御座いませんので、ご安心ください。」などの文言。企業側のマイページや送られてくるメールに、しつこいくらいに記載されていて、「もう、わかったよ」とげんなりする。
もはや具体的な企業名を挙げるまでもなく、ほとんどの企業が同じように、こう書いているのだ。しかし、某大手銀行の採用担当者は、インターンシップが採用活動には関係大アリなため、今年からこういった文言を削除したと、苦笑いしながら言っていた。まあ、これは例外なのだろう。