新型コロナウイルス感染拡大で、WTO(国際保健機構)が「パンデミック」を宣言。それによる、経済活動や企業の業績への影響が一段と深刻している。世界中に株安の連鎖が広がっている。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、米国は英国を除く欧州からの入国を30日間停止すると発表。感染者が1万人を大きく超えるイタリアでは薬局や、生活必需品を取り扱うスーパーを除く店舗を2週間にわたり全面的に閉鎖する。国内外で、東京五輪・パラリンピックの開催について、延期や中止の声が高まってきた。経済への影響は避けられない。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 どう出る! 米FOMC、日銀の「追加緩和策」
日経平均株価予想レンジ:1万6000円~1万8500円
2020年3月13日(金)終値 1万7431円05銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、引き続き下値を試す展開となりそうだ。
前週の日経平均株価は、一時1万6000円台まで下落するなど、5週連続安となった。新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、WHO(世界保健機関)が「パンデミック」(世界的大流行)を宣言したことが嫌気された。
加えて、原油価格の急落と円高の進行も悪材料となった。特に米ニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が、週に2度もサーキットブレーカーの発動などで暴落した。
今週の日経平均株価は、新型コロナウイルスの世界的な感染に歯止めがかからない限り、下値を試す動きが続きそうだ。注目されるのは、日米を中心とした金融当局や政府による新型コロナウイルス対策。米国ではトランプ大統領が、給与減税の実施を含む経済対策を打ち出した。安倍晋三政権も新たな経済対策を検討していることから、内容次第では株価の下支え要因となりそうだ。
また、17、18日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、追加利下げが予想されており、18、19日には日銀の金融政策決定会合が開催されることから、追加緩和策への期待が高まっている。
ただし、その内容が期待を下回るものであった場合には、日経平均株価の売り材料となる可能性もある。
東京外国為替市場 米追加利下げは織り込み済みだが......
ドル・円予想レンジ:1ドル=105円00銭~108円00銭
2020年2月28日(金)終値 1ドル=107円91銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが不安定な動きとなりそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが大幅安となった。WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスについて「パンデミック」(世界的大流行)を宣言したことや、原油価格の急落などで、リスク回避のドル売りが急増した。ドルは一時、1ドル=101円台に突入した。
今週のドル円相場は、ドルが不安定な動きとなりそうだ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、引き続きリスク回避のドル売り要因となるが、17、18日に開催されるFOMCでの米国の追加利下げは相場に織り込まれており、これがドル売り材料となることはないだろう。
むしろ、日銀の追加緩和や各国の経済対策が発表されるようであれば、ドル買い材料として反応する可能性は高い。
経済指標は、国内では16日に1月の機械受注、18日に日銀金融政策決定会合(19日まで)、2月の貿易統計、2月訪日外国人客数、19日に日銀の黒田東彦総裁会見、2月の消費者物価指数などが予定されている。
海外では、16日に中国の2月の工業生産と小売り売上高、17日にFOMC(18日まで)、米国の2月の小売り売上高と鉱工業生産、18日にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長会見、2月の米住宅着工件数、19日に10~12月期の米国経常収支などが予定されている。
(鷲尾香一)