副業や兼業の推進を盛り込んだ「働き方改革関連法」が施行されて、まもなく1年。全国の会社員を対象に行われた副業ニーズを探る調査によると、実際に副業をしている人は約1割にとどまる一方、これから副業を始めたいと考えている人は6割を超えた。
とくに、20代では「すぐにしたい」という人が7割を超えるなど、若い世代ほど副業への意欲が高そうだ。総合人材サービス、パーソルグループのワークスイッチコンサルティングが、2020年3月11日に発表した。
「将来に不安」な若手が副業に可能性感じる
調査では、「現在の職業が会社員で、役職が部長・課長・係長・主任・一般社員クラス」と「勤務先の従業員数が300人以上」という2つの条件でスクリーニングした7501人(男性4488人、女性3013人)を対象に、「副業」の有無を調査。このうち、約1割(10.9%、819人)の人が「(副業を)している」と回答。89.1%(6682人)が「していない」と答えた。
次に、副業をしている人と、していない人で、副業についての意識や知識の実態を探った。従業員300人以上の企業に勤務する20~59歳の会社員800人を、副業している人400人と、副業していない人400人に分けて選び、それぞれ20~50代の年代ごと、男女各50人に聞いた。
800人全員に、勤務先が副業を認めているかどうかを聞くと、「認めている」は30.8%、「禁止」が49.8%、「わからない」が19.5%だった。
それもあってか、副業している人の55.3%が「会社に申請していない」と明かした。「申請している」人は19.0%、「申請の必要がない」が25.8%だった。
ほぼ半数の企業で「副業禁止」の現状が示されたが、副業していない人に「副業したいか」と聞いたところ、「すぐにでもしたい」(24.5%、98人)と「いずれしたい」(39.8%、159人)を合わせて64.3%(257人)が「副業したい」意向を表明。なかでも20代では、「すぐにしたい」が男性38.0%、女性30.0%、「いずれしたい」が男性44.0%、女性40.0%と、副業意欲が高いことが示された。
企業は人材をあえて社外に「越境」させる
副業していない人で「副業したい」意向を持つ人(257人)に、その理由を一つだけ挙げてもらったところ、183人が「本業以外の収入を得たい」と回答した。
また、「自分のキャリアの可能性を広げたい」という人もいた。
こうした結果に、ワークスイッチコンサルティングのゼネラルマネジャー、成瀬岳人さんは、
「この調査で見えてきたのは、若手ほど将来に不安を感じ、副業という手段に可能性を感じているということ。2020年代は、本格的に労働人口が減少していく。企業は人材を『囲い込む』のではなく、あえて社外に越境させて、自律的なキャリア開発を支援していくことが必要になるでしょう。
その結果、社員はその機会を提供する企業に感謝し、本業での活躍のために自ら成長していきます。副業を『禁止』するか、『管理』するか、むしろ促進し『支援』するか? この選択が、企業の持続的な変革と、日本の未来を担う次世代の可能性を拡げていくことに繋がっていくでしょう」
と述べている。
なお調査は、2019年12月10日~12日に、インターネットで実施した。