2020年度(4月~21年3月)に入社する正社員(新卒、中途採用を含む)の採用で、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と答えた企業は59.2%と、6割を下回ったことが、帝国データバンクの「2020年度の雇用動向に関する企業の意識調査」でわかった。3月12日に発表した。
前回調査(19年2月)の64.2%から、5.0ポイント減少した。減少は2年連続。採用を予定する企業が6割を下回ったのは、14年度調査(59.5%)以来6年ぶり。14年は消費税の引き上げ(5%→8%)があり、その影響の見極めなどのため、採用が控えられた。
「採用予定はない」と答えた企業は27.8%で、2年連続で増えた。今回の調査は、2020年2月14日から29日に実施。調査期間は、新型コロナウイルスによる感染が拡大していたため、それによる先行き不透明感の高まりで、採用を控える企業が多くみられた。
大企業では強い意欲続く
調査(有効回答1万704社)によると、正社員の「採用予定がある」と回答した企業の割合を規模別でみると、「大企業」は82.9%。前回調査の84.8%から、やや減ったが、7年連続で8割を超え、採用活動に積極的な姿勢が続いている。
ただ、「中小企業」は53.6%で、前回調査から5.5 ポイント減少。採用予定のある企業からは、世代交代や働き方改革の対応で、従業員増強が必要になったことなどが理由として挙げられたが、採用予定のない企業からは、先行きの不透明感を指摘する声が多く聞かれた。
景気動向のほか、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から、
「新型コロナウイルスの影響はこれからと考えており、景気の見通しが立たないため、採用見込みも不透明」(東京、ソフト受託開発)
「労働者にとって売り手市場だと思うが、新型コロナウイルスの影響次第では一気に採用を控える企業が出てくる可能性がある」(大阪、下着類卸売)
「新型コロナウイルスの影響で今後3か月程度は忙しくならないと予想し、現状も過剰感があるので、当面の採用は行わない」(兵庫、金型/付属品製造)
「コロナウイルス影響の先行きが見えないため、採用見込みは減少する予定」(愛知、プラスチック板/合成皮革卸売)
「出店やイベントの開催を行うと増員が必要となる。しかし、コロナウイルスの影響がこの後どの程度になるかが予想できないため社員の採用は予定できない」(大阪、靴小売り)
などと、採用を躊躇する声が多かった。