【襲来!新型コロナウイルス】「医療崩壊」は真実か? 海外メディアは「韓国がモデルケース」と大注目!(井津川倫子)

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   ようやく世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的流行)」を表明した新型コロナウイルス。欧米や中東で爆発的に拡大して、名実ともに世界規模の大流行という状況になっています。

   果たして、この新型コロナウイルス。WHOが言うように「制御可能」なのでしょうか――。中国やイタリアのように「全面封鎖」をするのか、それとも韓国のように「早期発見、早期治療」を掲げてPCR検査を徹底するのか......。

   各国政府が対応に頭を抱えるなか、海外メディアでは韓国への注目度が高まっています。

  • 海外メディアは韓国に注目!(写真は、文在寅大統領)
    海外メディアは韓国に注目!(写真は、文在寅大統領)
  • 海外メディアは韓国に注目!(写真は、文在寅大統領)

「イタリア方式」か? それとも「韓国方式」か?

   各国が注目しているのは、ひと足先にホットスポットになった韓国とイタリア政府の対応です。じつは、両国ともに最初の感染者が見つかったのは1月末でした。その後、韓国政府は22万人以上にPCR検査を実施(3月11日時点)。約8000人の感染者に対して死者は67人と報じられています。

   一方のイタリアは、7万3000人に検査して、感染者は1万5000人超。死者は1000人を超えており、致死率の高さに注目が集まっています。

   専門家は両国の数字を単純に比較はできないとしつつも、感染率と致死率の差から、

「Aggressive and sustained testing is a powerful tool for fighting the virus」
(積極的で持続的な検査が、ウイルスと闘う上で強力な武器になる:ロイター通信)

と、指摘しています。

   ロイター通信はさらに、「広範囲な検査を行うことで、政府は感染拡大の規模を把握することができる。一方、検査を制限すると、結果として人の移動を制限するなどより大規模な対策を取る必要が生じる」とする、米シンクタンクの分析を紹介しています。

   「広範囲な検査を行っている」代表例が韓国で、「人の移動を制限する」代表例がイタリアということでしょうか。

   また、日に日に感染者数が増加しているイタリアと比べて、韓国での感染者数は鈍化傾向を示していると報じられています。もちろん、首都ソウルなどで散発的に感染が確認されていて「警戒を緩めることはできない」(公衆衛生政策担当トップ)状況だそうですが、韓国政府の「早期発見、早期隔離、早期治療」の方針に注目が集まっていることは確かです。

米ワシントンポスト紙「韓国方式はサクセスストーリー」

   WHOのパンデミック宣言に前後して、一気に感染者数が増えた欧米では、韓国政府の対応を評価する報道が目立ち始めました。

   米紙ワシントンポストは、「What America can learn from South Korea's coronavirus respons」(アメリカが韓国のコロナウイルス対策から学べること)と題した記事の中で、次のように述べています。

South Korea is a model to follow if countries want to avoid long-term locking down millions of people, as China and Italy have done
(韓国は、中国やイタリアのように人々を長期間封鎖することを避けたい国にとって、従うべきモデルだ)
lock down:封鎖、封じ込め

   確かに地域によっては病床が足りないところもあると報じつつ、それでも「South Korea has been a relative success story」(韓国は比較的サクセスストーリーだ)と評価しています。

   その理由として、1日に2万件が可能なPCR検査の徹底ぶりと情報開示の透明さなどを詳しく紹介していますが、こういった明確で透明性が高いメッセージを政府が示すことで、

「It gives people confidence that COVID-19 can be defeated」
(コロナウイルスは制御可能だという自信を国民に与え)
「It also helps to counter stupid rumors or deliberate misinformation」
(ばかげた噂や間違った情報を押さえ込める)

といったメリットをあげています。

   逆に、全国的な大規模封鎖に踏み切ったイタリアでは、行動指針が不明瞭で国民のあいだに混乱が広がっていると報じています。

   同じく米国のニューヨークタイムズ紙も、「初期段階から素早い対応、透明性、先制攻撃をモットーにしていた韓国政府」を米国は参考にすべきという意見記事を掲載。

   他にも、各国メディアでは、韓国方式を評価する報道が目立ちます。

Seoul has touted its approach as a model for other countries.
(ソウルの対応は、他国へのモデルとして宣伝になっている:米ボイス・オブ・アメリカ)
tout:宣伝する

Coronavirus in South Korea: How 'trace, test and treat' may be saving lives (韓国のコロナウイルス対策。「追跡、検査、治療」が人命を救うかもしれない:英BBC)

Can South Korea be a model for virus-hit countries?
(韓国はウイルスに襲われた国々のモデルになり得るか?:仏APF)

   現時点では、フランスのAPFの見出しのように、韓国がモデルになり得るかどうか判断は難しいところでしょう。それでも、下記のWHOテドロス事務局長のコメントを読むと、なぜ韓国方式に注目が集まるか、理解できます。

〈WHOテドルス事務局長のコメント〉

   すべての国はこのパンデミックの行く末を変えることができる。各国がウイルスを見つけ、検査し、治療し、隔離し、感染経路をたどって人々に対応させれば、一握りの感染者しかいない国はクラスター化を防げるし、クラスターが地域的な感染になることを防げる。地域的な感染がある国や大規模なクラスターを抱える国も、情勢を一変させることができる。数カ国はウイルスを抑え、コントロールできると証明した。

   海外メディアを見る限り、一部メディアで報じられているような「PCR検査の徹底による韓国の医療崩壊」は問題視されていない様子でした。予測不能な時こそ、視野を広げてさまざまな情報に触れたいものです。

◆ 新型コロナウイルス注目ワードVol.4「lock down」(封鎖)

   中国の武漢やイタリアが「lock down」(封鎖)をして、人々の行動を制限しました。

Italy on lockdown over coronavirus
(イタリアがコロナウイルスで封鎖されている)

   「lock down」は米ニューヨークの一部地域などさまざまなエリアに広がっており、新型コロナウイルスの拡大に伴い、今後もさらに増えることでしょう。 (井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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