世界の金融市場が大荒れに荒れています。連日のように1000ドル近いアップダウンを繰り返していた米ニューヨーク株式相場の下げ幅が拡大して、いよいよ「ベア・マーケット」(弱気相場)に突入したと報じられています。
2009年1月から史上最長の「ブル・マーケット」(強気相場)が続いていたそうですが、それにしてもなぜ、「ベア(熊)」や「ブル(雌牛)」といった「動物」が金融に関係するのでしょうか?
マーケット英語を調べてみたら、意外にもおもしろい発見がありました。
「熊」が腕を売り下ろす動作が「弱気」だと言われても......
新型コロナウイルスの世界的な流行が強まるなか、世界の金融市場が乱高下を繰り返しています。世界保健期間(WHO)の「パンデミック宣言」がダメ押しとなって、世界経済のけん引役であるニューヨーク株式相場が大幅下落して「弱気相場入り」したと報じられました。
Dow hits bear market after WHO declares coronavirus a 'pandemic'
(WHOの「パンデミック宣言」の後、ダウは弱気相場に突入した)
hit bear market:弱気相場入りする
「bear market」(ベア・マーケット)とは、市場において下落が続いていることを指し、「弱気相場」「下げ相場」とも呼ばれます。具体的な数値設定はありませんが、直近の高値から「2割以上の下落」が「弱気相場入り」の目安だといわれています。
「bear market」の「bear」は「熊」で、直訳すると「熊相場」です。
どちらかと言えば「熊」には強くて凶暴なイメージがあり、違和感が拭えません。「熊相場」という言葉からは、「熊」たちが鼻息荒く、強気の取引をしている姿を連想しがちですが、実際は、熊は上から下に向かって爪を振り下ろすという動作をすることから、相場が下落する様子を熊の姿に重ねてこのような呼び方になったそうです。
確かに、マーケットの動きを示す折れ線は、熊が手を振り下ろすような急激な下降線を描いています。実生活で、あまり熊には遭遇したくないですが、大荒れする金融市場でも「熊」にはお目にかかりたくないもの。「熊」に遭遇して「死んだふり」どころか、ほとんど「死に体」になってしまった投資家も多いのではないでしょうか。