企業にしがみつく人の末路は......
◆ 40歳定年制度が現実に
じつは、このトレンドを以前から正確に予測していた人がいる。東京大学大学院の柳川範之教授だ。氏は2012年の国家戦略会議において「40歳定年制度」を提唱し、当時広く話題となった。
当時は「40歳で退職なんてしたら、どうやって生きていくんだ!?」といったネガティブな反応が多かった記憶がある。
ただ、氏の話は実際には40歳で一律で定年退職させろというような話ではなく、あくまで個人のキャリア戦略の話である。これから、どんどん働く期間が延びることになるため、40歳あたりで自身のキャリアの棚卸しをして、労働市場を通じてより評価される職場を探しましょうくらいのスタンスだ。
そういう企業との「再交渉」を避け、「なんでもやりますから、70歳まで面倒見てください」と、白旗を上げる人がどういう扱いを受けるかは言うまでもない。
企業側から足元を見られ、誰もやりたがらないような仕事を押し付けられることだろう。
筆者は恐らく、(40歳以降にキャリアデザインし直すという意味での)40歳定年制度は一過性のブームではなく、一つのトレンドとして日本社会に定着していくと考えている。(城繁幸)