ファンが異例の要望「007映画の公開を延期して!」
新型コロナウイルスの影響を受けたのは、トム・クルーズだけではありません。ハリウッドを中心に、世界中の映画業界が大打撃を受けているとメディアが報じています。
Hollywood Is Bleeding Big Bucks as Coronavirus Spreads
(コロナウイルスの拡大で、ハリウッドが大金を失っている)
bleed:血を流す
big bucks:大金
うまく日本語にできないのですが、「bleed」は「血を流す」という意味の動詞です。大金を失って「血を流すほどの痛手を追っている」というニュアンスだと思ってください。
最初の打撃は、1月下旬から始まった中国での映画館の閉鎖だったそうです。中国での映画市場は急成長していて、今では北米に続く世界2位の巨大市場になっています。しかも、書き入れ時にあたる「春節」時期の閉鎖は、映画業界にとっては「最悪のタイミング」でした。
「1917」や「ジョジョ・ラビット」といったオスカー賞関連の大物作品の公開が見送られて収益的には大打撃。今後、映画館が再開しても「中国作品の上映が優先される(ハリウッド関係者)」見通しとあって、米英の映画業界は悲鳴を上げています。
感染が広がる韓国やイタリアではすでに映画館の閉鎖が始まっていますし、状況によっては世界1位と2位の映画市場を誇る米国と日本が追随する可能性もゼロではありません。
そんななか、4月に公開が予定されていた「007」シリーズの新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が公開延期になりました(英国では11月公開予定)。「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は主演ダニエル・クレイグの「卒業作」だと言われていて、じつに4年ぶりの新作になります。異例の公開延期のきっかけは、この作品の熱心なファンサイトの要請でした。「米国で感染がピークを迎えているかもしれない」4月上旬を避けて、「専門家が終息を予測している」夏に公開を延期して欲しい、とメッセージを送ったのです。
すでに、「007」新作の中国や韓国、日本でのキャンペーンツアーは中止に追い込まれていました。「経済的被害よりも人々の健康のほうが大切」という理由での要請でしたが、「私たちは4年以上待ったから、数か月の延期にはビクともしない!」というメッセージに、ファンの熱い想いを感じました。 それにしても、ハリウッドにまで押し寄せる新型コロナウイルスの恐怖。この先どこまで被害が広がるのか、誰も予想できない域に達しているようです。
◆ 新型コロナウイルス注目ワードVol.2「outbreak」
毎回一つずつ、新型コロナウイルスに関連して「覚えておきたい注目ワード」をご紹介していきます。今回の注目単語は「outbreak」です。日本語でも「アウトブレイク」は浸透していますが、「突発的な拡大」や「急激な広がり」といった意味です。
感染が広がるにつれ、「coronavirus outbreak」(コロナウイルスの急激な感染拡大)を目にする機会が増えました。「spread」(拡大)よりも「爆発的」といったニュアンスの「outbreak」のほうが、しっくりくるのでしょう。
今のニュースを語る旬のワードですから、「coronavirus outbreak」をぜひ、覚えてください。
(井津川倫子)