頭を切り替えろ! 10年続いた株高トレンドは終了した
【リスクオフでのFX投資戦略】
このような米ドル円の保ち合い下放れを後押ししたのは、「新型コロナ・ショック」を受けた未曽有の世界的な株価の大暴落だろう。特に米国株、ニューヨークダウ平均株価も足元2万7000ドル程度の52週MA(移動平均線)を大きく下回ってきたことで、経験的には2009年から10年以上続いてきた株高トレンドがついに終了。株安トレンドへ転換した可能性も出てきた=図表3参照。
このように、「コロナ・ショック」が拡大する中で、一時的ではなく、継続的な株安、リスクオフ局面に急転換した可能性が出てきた。その中で米ドル円は、長く続いた小動きが終わり、その反動もあって大相場へ急転換した可能性がある。
「新型コロナ・ショック」への懸念が急拡大した数週間において、米国株の「10年株高」が終わり、「米ドル円は小動き(低いボラティリティー=低ボラ)」といったこの数年間の「常識」が急転換している可能性がある。その意味では、頭を切り替える必要があるだろう。
リスクオフ局面では、基本的に「安全資産」、そして流動性の豊富な主要通貨が買われるのが基本。ただ足元は、主要国の中で比較的金利差下げ余地のある米国に利下げ期待が集中、米金利低下から米ドルは売られやすいため、円買いに集中しやすくなっているだろう。
そうなると、米ドル円もクロス円も基本的には下落リスクが続くだろう。下落リスクが続くなら「売る」必要がある。「売る」なら、基本的には低い金利の通貨が選択される。
総合的に考えると、ユーロ/円や豪ドル/米ドルの売りということではないか。また米ドル円も、米国金利の急ピッチの低下を受け、これまでより売るコストが低下してきた。
【図表3】NYダウと52週MA(2000年~)
(マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント 吉田 恒)
※ 本稿は、マネックス証券掲載の内容を著者の了解を得て、一部編集しました。