帝国データバンクの「コンビニエンスストア経営業者の倒産動向調査」によると、2019年のコンビニエンスストア経営業者の倒産は41件だった。2020年3月6日の発表。
前年(24件)に比べて70.8%増と大幅に増加。増加は2年ぶり。また、倒産件数が40件を上回ったのは、2017年以来2年ぶりで、05年以降で2度目のことだった。
2年ぶりの40件超
調査で、2005年からの15年間をみると、1年間の倒産件数は20件台の年が多数を占めるなか、19年は2017年以来2年ぶりに40件を上回った。帝国データバンクによると、店舗数が増加傾向のなか、競争激化や人手不足問題の深刻化などが倒産の背景にあるという。
たとえば首都圏のように、集客力の高い店舗と、そうでない店舗とで売り上げに格差が生じているほか、消費増税に伴うキャッシュレスやポイント対応への設備投資が負担になった店舗もありそうだ。
負債総額は9億7800万円。2018年の9億4900万円をわずかに上回った(前年比3.1%増)。18年に2件あった負債2億円を超える倒産が19年にはなく、件数の大幅増加の一方で負債額は微増にとどまった。
負債規模別にみると、「5000万円未満」が36件(構成比87.8%)で最多。「5000万円~1億円未満」の2件(同4.9%)とあわせると構成比は92.7%となり、ほとんどが負債1億円未満の小規模倒産だった。
地域別では、関東が14件(構成比34.1%)で最多。このうち東京都では7件だった。次いで、中部12件(同29.3%)、近畿8件(同19.5%)。関東での倒産件数は2005年以降毎年、他地域を上回っており、16年以降は4年連続で2ケタの記録が続いている。19年は9地域中5地域で前年より件数が増えた。業歴別をみると、「10年未満」が18件(構成比43.9%)で最多。次いで「10~20年未満」が11件(同26.8%)となり、合わせて「20年未満」が7割を占めた。
来店客は2008年以来初の減少
日本フランチャイズチェーン協会によると、正会員7社(セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、山崎製パンデイリーヤマザキ事業統括本部、ローソン)を対象にした調査で、中食などが好調に推移したことや、消費税率の軽減制度に伴うキャッシュレス還元の効果などから客単価が上昇し、2019年の全店の売り上げは合計で前年比1.7%増の11兆1608億円となった。
その一方で、店舗数は19年11月に08年以降で初めて前年同月の店舗数を下回り、最新の2020年1月(5万5581店)まで3か月連続で前年同月(19年1月=5万5698店)から減少。また19年の来店客数は08年以来初めて前年を下回り、単月でみると19年10月から最新の20年1月まで4か月連続でマイナスとなるなど、経営の内容に変化の兆しが見られる。
今後は、コンビニのアピールポイントだった24時間営業を廃止に向け動く業者も少なくなく、各社は対応に追われることになる。直近は各分野で新型コロナウイルスの影響が懸念されており、コンビニ業界も影響が出てくることが考えられる。
帝国データバンクでは、人手不足問題の解消に加え、集客確保、さらには新型コロナウイルス問題の影響にどう取り組むかが、店舗運営のカギとなってくるだろうとしている。
なお、同社は2005年から毎年コンビニエンスストア経営業者の倒産動向(負債1000万円以上の法的整理)を集計・分析している。