国を挙げて新型コロナウイルスという災難と戦っているなかで、それに便乗して悪事を働く不届き者がこれほど多いとは――。
新型コロナに便乗した詐欺が横行しているため、国民生活センターや警察庁、厚生労働省、一般財団法人・日本サーバー犯罪対策センターなどが相次いで注意を促している。特に感染拡大が深刻になった2月中旬から消費生活センターや全国の県警本部などに相談が増えているという。
マスク不足につけこんだ「フィッシング詐欺」
国民生活センターなどによると、特に目立つのがマスク不足につけこんだ「フィッシング詐欺」だ。たとえば、こんな事例だ。
突然、スマートフォンに、
「新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、マスクを無料送付します。確認をお願いします」
と記載され、URL が付いたショートメールが届く(下図参照)。不用意にURL にアクセスすると、フィッシングサイトに誘導され、スマートフォンに不正なアプリがインストールされたり、個人情報を取得されたりする手口だ=漫画参照。
国民生活センターは、
「心当たりのない送信元から怪しいメールや SMS が届いても、絶対に反応しないようにしましょう」
とアドバイスしている。
また、「フィッシング詐欺」では、ネット通販でマスクを購入するケースでも罠が待ち構えている。フリーマーケットの画面にある実在する事業者名に似せた、偽ショッピングサイトに誘導され、代金を支払ってもマスクが送られてこなかったり、会員登録時の個人情報が盗まれたりするのだ。
厚生労働省の職員を名乗って電話してくるケースも多い。
「厚生労働省○○課の者です。新型コロナウイルス対策についてお伺いしています。ウイルスの検査を受けていますか? 費用はこちらで持ちますのでぜひ検査を受けてください」
などと言葉巧みに誘いをかけ、いくら貯金があるか、現金を持っているかなどを聞き出そうとする。高齢者の家に現金があるのを電話で確認した直後に強盗に入る「アポ電強盗」の手口だ。
また、高齢女性の自宅に、
「コロナウイルスに関する大切な説明があります。これからご自宅に伺います」
という電話がかかり、怖くなった女性が警察に相談したケースもあった。
厚生労働省では、
「厚生労働省職員を装い、『費用を肩代わりするので検査を受けるように』とか『個人情報を聞き出そうとされた』という相談が増えています。厚生労働省では、ご家庭に直接連絡をすることはありませんので注意してください」
と呼びかけている。