FB「リブラ」は仮想通貨の「始まり」の始まり? 金融当局は計画を潰せない

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「延期」は自信の現れ

   各国の金融当局からこうしたさまざまは指摘、批判を受け、FBのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は2019年10月23日の米下院金融サービス委員会で「当局の承認を得られなければリブラをスタートさせるつもりはない」と述べるなど、従順な姿勢を見せている。これは、じつはリブラ発行に向けた強い意思の表明なのだという。

   FB側が規制受け入れの姿勢を続ける限り、金融包摂という社会的に意義ある目的を掲げているリブラ計画を、金融当局が潰すという選択はあり得ないということを見越しての狡猾な戦略だというのだ。

   著者の木内豊英さん2012年7月から5年間、日銀政策委員会審議委員を務め、現在は野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト。発行計画の発表以来、リベラをめぐる動きからは「逆風が改めて確認できるが、それにもかかわらず計画が頓挫してしまう兆しは今のところ見られていない」という。

   仮にリブラ計画が頓挫するようなことがあっても、「遅かれ早かれ第2、第3のリブラともいうべきデジタル通貨が必ず登場する」と予告。デジタル金融の新たな動きはもはや逆行は許されず、現在のシステムにどのように受け入れていくかを真剣に考えねばならないという。

   金融の「現実」と「仮想」世界の違いについて、コントラストを効かせた解説がわかりやすく、リブラばかりではなく、仮想通貨、デジタル通貨、ステーブルコインなど、近い将来起こる「通貨革命」の予習に最適の一冊。

「決定版 リブラ 世界を震撼させるデジタル通貨革命」
木内豊英著
東洋経済新報社
税別1600円

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