課題は「本人確認」「資金洗浄対策」
リブラをめぐっては、ほかにマネーロンダリング(資金洗浄)に使われる懸念がつきまとう。各国の金融当局は近年、金融規制のうえで「KYC(Know Your Customer=顧客の本人確認)と「AML(anti-money laundering=資金洗浄対策)」に特に力を入れているという。だが、これらについてFBからは明確な説明がなく不信感を募らせることにつながっている。
リブラは世界で17億人に及ぶ銀行口座を持たない人に金融サービスを利用できるようにすることを理念としている。主な利用者として想定しているのは低所得者、貧困層であり、こうした人たちに本人確認を漏れなく務付けることは容易ではない。定まった住所がなかったり、公共料金の請求書などで身元を証明できないことなどもあって銀行口座を開けないという側面もあるのだ。
本人確認をリブラ利用の条件にすれば、貧困層の利用者は増えず、金融包摂や格差対策といったリブラの理念が実現できない。FBが身分証明書の発行を計画しているとも言われるが、それで確認が十分と当局が判断するかは不透明だ。