2021年卒業予定の大学生は、「副業やテレワークができる」ことよりも、「男女に関わらず育児や介護と両立できる働き方」を望んでいることが、新卒紹介事業の株式会社DYMの調べでわかった。「同一労働同一賃金」に、「賛同できない」とする人も多数いる。
2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されてから、多くの職場が変化している。大企業を中心に、副業解禁やテレワークの推進などの取り組みが強まっているほか、この4月からは「同一労働同一賃金」がスタート。正社員と非正社員との不合理な待遇差を設けることが禁止される。
「仕事もプライベートも充実させたい」思い強く......
調査で、「企業に入社する際に重視すること」(複数回答)を聞いたところ、1位が「残業時間の上限規制」で54.9%。2位が「男女に関わらず、育児や介護と両立できる業務制度の推進」の52.2%だった。これは3位の「テレワーク、リモートワーク」(37.8%)や、4位の「副業やダブルワーク、トリプルワークの推進」(30.2%)を大きく上回っている。
多くの学生が、就活時から将来の結婚や育児、介護などのライフイベントについて考える傾向にあり、会社の仕組みに自分たちを合わせるのではなく、「仕事もプライベートも充実させたい」という思いが読み取れる結果となった。
また、「働き方改革で賛同できないもの」(単一回答)を聞いてみると、「正社員、派遣、アルバイトやパートなど、雇用形態にかかわらない同一労働同一賃金化」が34.9%を占め、圧倒的な1位となった。
その理由として、
「賃金が一緒なら正社員である必要がない」
「責任が違うため区別はするべき」
「能力に応じて給料が決まるのは当たり前」
というような意見が目立った。
これから正規雇用を目指す就活生は、「苦労して正社員になったからには、そのポジションに優位性が欲しい」という意識が強いようだ。
「長く働き続ける社会」に疑問
2位は「高齢者の雇用促進(定年制度の延長など、長く働き続ける社会)」で、14.7%。「若者の雇用難につながるかも」という意見や、「若い世代の待遇をより良くしてほしい」など、上が詰まってしまうことで若い世代が悪影響を受けることを心配する声が少なくなかった。
また、「高齢者が働き続けなければいけない社会には賛同できない」や、「高齢者への経済配慮は企業ではなく国が行うべき」など、高齢化が進む社会への疑問や不安の声も挙げられた。
3位は、「残業時間の上限制度」(13.6%)だった。
DYM常務で人材事業部責任者の沖之城雅弘氏は、
「高齢化や年金、育児や介護によるキャリア分析などの社会問題が報道されている影響か、早くも10年後、20年後のワーク・ライフ・バランスを見据えて考える学生が多いようです。企業は今後の働き方の多様性を意識しつつ、入社後の社員が自身の暮らし方や生き方を検討し、選択することができるよう、キャリア教育や就労環境の整備が必要となるでしょう」
と、コメントしている。
なお、調査は2019年9月2日~2020年1月7日に、同社が都内で行った新卒紹介イベント「Meets company」に参加した来春卒の就活生を対象に実施。有効回答数は849人だった。2020年2月28日の発表。