新型コロナウイルスの猛威に気を取られているうちに、3月末に英王室を離脱するハリー王子夫妻の「離脱カウントダウン」が始まっていました!
サセックス公爵夫妻こと、ハリー王子とメーガン妃は2020年3月31日をもって王族としての公務を引退しますが、土壇場になって夫妻の離脱プランに「大誤算が生じた」と海外メディアが騒ぎ立てています。
果たして、世紀の決断をした2人に、「世の中はそんなに甘くない」のでしょうか?
特権没収で「儲かるロイヤルビジネス」に赤信号?
2020年1月に、突然「王族としての公務から距離置く」宣言をして世間を、アッと驚かせた英王室のハリー王子夫妻。王族や関係者を巻き込んで「すったもんだ」したあげくに、3月に王族としての公務から退くことが決まっていました。
残り少ない王族生活をエンジョイしているのかと思いきや、ここにきて夫妻にとって「想定外の大打撃」となるニュースが相次いで報じられました。
The Duke and Duchess of Sussex will stop using their "Sussex Royal" brand from spring 2020
(サセックス公爵夫妻は、2020年の春から「サセックス・ロイヤル」ブランドの使用を止める:英BBC放送)
報道によると、ハリー王子夫妻は「半分王室メンバー、半分私人」という「ハイブリッドライフ」を期待していたようです。「サセックス・ロイヤル」の商標登録を行い、ブランドの商品展開を目指すなど、「あこがれのハイブリッドライフ」に向けて着々と準備をしていました。ところが土壇場になって、エリザベス女王から「王室を意味する『ロイヤル』の言葉をブランド名に使うことはできない」と禁止されてしまったというのです。
公務を果たさないのに「王室」は名乗れないだろうし、ましてや「王室を商売に使うなんてもってのほか」と考えるのが常識でしょう。
ところがハリー王子夫妻は、すでに「サセックス・ロイヤル」のウェブサイトを立ち上げていて、商標登録に「多額の資金をつぎ込んでいた」というから驚きです。今回の「ロイヤル使用禁止令」は、二人にとって大打撃だと地元英国メディアは報じています。
The loss of "Sussex Royal" will be a blow
(「ロイヤル・サセックス」称号の消失は打撃だ)
blow: 強打、一撃、攻撃
The decision on the brand name was a "setback" for the couple
(ブランド名についての決断は、夫妻にとって「敗北」だった)
setback:敗北、失敗
They will be royal no more!
(彼らはもはや、ロイヤルではない!)
これまで 「サセックス・ロイヤル」を前面に出して活動してきたハリー王子夫妻。商標登録までして「lucrative business」(儲かる商売)をもくろんでいましたが、「そうは世の中甘くない!」とメディアは辛辣な批判を繰り広げています。
「ただのハリー」にカナダ政府も見放した?
追い討ちをかけるように、さらなる「blow」(打撃)がハリー王子夫妻を襲いました。
二人が滞在しているカナダの政府が、「夫妻のセキュリティ費用は負担しない」と宣言したのです!
Canada to stop paying Harry and Meghan's security
(カナダ政府は、今後、ハリーとメーガンのセキュリティ費用を支払わない)
王室離脱後は、イギリスとカナダを行き来しながら慈善活動などを行うとしている夫妻ですが、カナダでは高額なセキュリティ費用を、誰が負担するのかと問題になっていました。ある調査では、国民の73%が「二人のセキュリティ費用に税金を使うな!」と反対したと報じられています。
庶民にはピンときませんが、著名人のセキュリティには莫大な費用がかかるようです。夫妻のカナダでのセキュリティ費用は「年間40億円」という報道もありました。ちなみに、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏は、1回のイベント出席に「2億円近い」セキュリティ費を払ったこともあるそうです。
ハリー夫妻については、「ロイヤルの使用」など数々の特権を没収されて「ただのハリー(英紙)」になったうえに、「とうとうカナダからも見放された!」という見出しがメディアを賑わせていますが、一方で「ハリー夫妻に高額オファーが後を絶たない」とも報じられています。
先日、ヘンリー王子とメーガン妃はそろって、米マイアミのホテルで開かれた米金融大手JPモルガン・チェース主催のイベントに出席しましたが、その謝礼はなんと最高額で100万ポンド(1億4400万円)だったと推測されています!
専門家は「王室引退後の二人には米国での講演依頼が殺到するだろう」としています。英国に比べて「講演料が高額」で、「王室好きが多い」米国では、「ロイヤルの称号があろうがなかろうが関係ない」らしいのです。
さらに、米国の出版社は「もし二人が本を執筆したら権利料は1億円を下らないだろう」と予測しています。さらに印税を加えると...... 莫大な収入になることは間違いありません。
それでは、「今週のニュースな英語」は「blow」(打撃、失敗)を使った表現を紹介します。「ボディーブロー」の「ブロー」だと言うと、ピンとくるのではないでしょうか。
That's a blow
(それは、打撃だね)
形容詞の「major」を使って強調します。
That's a major blow
(それは、大打撃だね)
さらに、前置詞の「to」を使って、「~にとって」という意味を加えましょう。
That's a major blow to the company
(それは、会社にとって大打撃だ)
「王室離脱カウントダウン」の最終章として、母国イギリスに一時帰国しているハリー王子夫妻。メディアは酷評するものの、庶民からしたら「やっぱり世の中は甘い」のではないでしょうか。(井津川倫子)