「ついにアメリカにも見放されたか!」
「これでもうオリンピックは無理だな」
2020年3月4日未明、衝撃的なニュースが飛び込んできた。トランプ米大統領が記者団に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた渡航規制強化について、すでに強化したイタリアや韓国などと同様に「日本の状況も非常に注視している」と述べ、具体的な名前をあげて日本が検討対象だと明言した。
決定時期については「正しい時期に正しい判断をする」と語った。日本からの出入国が規制されれば、経済活動や東京五輪・パラリンピックの開催に大きな痛手を受けそうだ。ネット上では「安倍政権の無能なコロナ対策のツケがきた」と怒りの声が殺到している。
「トランプさん、安倍首相の目を覚ませてくれてありがとう」
外務省海外安全ホームページによると、3月3日時点で日本からの渡航者および日本人に対して、入国制限措置や入国後の行動制限を行っている国・地域は、インド、モンゴル、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、ネパール、イスラエル、サウジアラビア、トルコ、カナダ8州、ロシアサハリン州など22に達する。
そこに最大の同盟国である米国が加わりそうなわけだ。
ネット上の意見を見ると、意外にも、驚きをもってこのニュースを受け止めた人は少ない。日本政府の新型コロナウイルス対策があまりにお粗末なので、「来るべきものが来た」「トランプ大統領が日本を排斥するのは当然だ」とする人が大半だ。こんな声に代表される。
「何を今さらという感じで、未だに対象に入っていなかったのが不思議なくらいだ。日本はきちんと検査もしていないし、もうどこに感染者がいるかわからない状況。すでに日本で陰性だと判断された人が本国に帰って発症した人がたくさん出ている。アメリカが自国を守るとなれば入国制限をするのは妥当だ。反対になぜ未だに日本が中国や韓国の一部の地域しか入国制限していないのかのほうが不思議なくらいだ」
「日本政府のクルーズ船の対応のミスで、自国内に新型コロナが蔓延してしまったと諸外国から厳しい目で見られているということだ。特に『一斉休校』にしたことも外国からすれば深刻な状況だとみられたと思う。クルーズ船は、外国からは培養船と呼ばれて、そこに外国人を長期間閉じ込めたことが怒りを買った。また、PCR検査をいろいろと理由を付けて熱心にやらずに、感染者数を少なくしていることも、オリンピックを開催したいがための隠蔽工作ととられている」
「トランプさん、賢明な判断です。即刻してください。そうしたら、この国の総理大臣たちも緊急事態宣言を出すときだということがようやくわかるでしょう。あなたの通告で、日本政府も経団連や企業トップも、中小企業経営者も甘い考えが間違っていたと目が覚めるでしょう。いまだ椎名林檎の東京事変がライブをしようとしています。トランプ大統領、即刻どうかお願いします」
「トランプさん、どんどん安倍総理の危機管理能力のなさを発信してほしいです。総理大臣に国民の声は届かないのですから。でも強い者の声は届くでしょう」
米国在住の日本人の間でも、いつ「日本人渡航規制」が出るかは時間の問題と思われていたという。
「入国拒否の措置がいつ取られるか、戦々恐々としているニューヨーク在住の日本人は少なくなく、先月(2月)の頭から日本人の間で話題にのぼることが増えていました。旅行などで米国を出たら再入国できなくなるとの憶測も飛び交い、ある在米日本人家族は海外旅行をキャンセルしました。また、直に情報に触れようと、トランプ氏のツイッターをフォローし始めた人も増えていました」
フランスでも日本の幼稚園児は2週間隔離
ほかの海外在住の日本人からも、日本政府、いや日本国民全体がいかに海外から厳しい目で見られているかという認識に欠如しているという声が目立った。フランスは日本人規制対象の64カ国・地域に入っていないが、それでもこれが現実だ。
「フランスに住んでいます。日本人の友人が2月に少しの間日本に帰りました。幼稚園のお子さんも一緒です。日本のお爺ちゃん、お婆ちゃんに会ってフランスに戻ったら、幼稚園から電話がかかってきて、『あなた達は2週間の隔離生活を送らなければならない』と言われました。友人親子は施設ではなく可能な限り家から出ずに過ごしたのですが、日本が世界から厳しく見られていることを知ってください」
「私は上海在住です。新型コロナを目の当たりにする毎日ですが、日本国民の意識はまだまだ対岸の火事だと思っていませんか。せっかく政府が思いきって休校措置をとっても、子どもを遊びに出歩かせたり、ライブハウスやジムへ行ったりする人いますね。今ここで封じ込めないと、日本が大変なことになる予感がします」
新型コロナウイルス対策で後手後手に回った安倍晋三首相の「身から出たサビ」という痛烈な批判の声が多く聞かれた。
「きついようですが、今の日本にとっては良いと思います。最近の政府のやり方は、一度世界から刺激を受けて更地からスタートしたほうが将来のためです。もっと国民のために政治をしてくれる国に生まれ変わってほしいです」
「トランプ大統領の決断。これが普通の国家リーダーのあり方です。日本のリーダーである安倍総理はその決断をせず、中国を忖度して春節観光客の入国を拒否しませんでした。いや、団体客は中国自身が出国を禁止したのです。武漢を含む感染蔓延地域以外の中国からの入国はいまだに禁止していません。習近平首席の国賓誘致、経済利益のみの経済界、中国からのインバウウンド頼みの観光地...。これらの価値が日本国民の命をも上回ったのでしょうか。トランプ大統領の決断は至極当然の処置ですし、これから他国も追随するでしょう。日本が鎖国状態になったら、安倍内閣の責任は大きいです」
「海外からこんなに能力の乏しい人を首相として認めている国はおかしいと思われているかもしれません。ホントは私たちが選んでいないのに......。『新型日本肺炎』と呼ばれているらしいですよ、安倍さん!」
「安倍さん、武漢へチャーター機を飛ばした時点で中国人の入国禁止と民間の検査機関も使って日本人の正確な感染者数の実態を発表すべきでした。韓国やイタリアにあれだけの感染者がいるのに、日本の感染者があの数字など、他国政府は信じるはずもなく、完全にあなたの失策。一番残念なのは、私たち国民も信じていないことです」
「これでもうオリンピックは完全になくなりました」
さらに、これでもう「オリンピックはなくなった」という声が支配的だ。
「各国が日本からの入国禁止、日本への渡航禁止にしたらオリンピック、無理じゃん、単純に。運動会やっている場合じゃないでしょ」
「仮に新型コロナが5月までに落ち着いたとしましょう。日本人の立場として、たとえばアウトブレイク収束から2?3か月しか経ってない武漢にこぞって観光に行くでしょうか? 心理的な影響は年単位で残ると思います」
「アメリカが日本人の入国を拒否するなら、オリンピック開催も困難になります。大切な自国選手を日本に送れないしね。ほかの国も選手派遣やめるでしょうね」
「オリンピックを無観客で開催しますか? 前代未聞でしょ。それだと、まったく経済効果ものぞめないし、ホントにどうするのか。国民は失望を繰り返して疲れ果てています」
「不正な金を使っての誘致、競技場のデザイン騒動、猛暑の心配、遊泳場の赤痢菌...... 問題だらけだった東京オリンピックは日本にとって負担でしかなかった。ちょうどいい。思い切ってやめようよ」
いや、むしろ「オリンピック開催死守」の呪縛からおろそかになっていた新型コロナ対策に、これから必死に取り組むべきだという意見が多かった。
「オリンピック開催をあきらめて、いますぐ緊急事態宣言を出して思い切った感染封じ込め策をとってほしい」
「オリンピックに囚われている限り、コロナ対策はうまくいかないと思う。ウイルスは忖度などしない。詭弁も言い訳も通じない。公衆衛生学的方策のみ有効です。オリンピック開催国ということで遠慮していた強硬策をどんどん出してほしい」
じつはアメリカのほうがひどいコロナ感染拡大?
日本人の入国を規制しかねない米国だが、「トランプ大統領の選挙対策だ」とか「じつは米国の感染状況のほうがひどいのではないかと」批判する声も少なくない。
「新型コロナなど知らぬ存ぜぬと言ってきたアメリカこそ一番危険だ。いきなり市中感染者や死者が出すぎ。感染経路的にも6週間前には感染が広がっていたという米研究者の報告もある。日本と違って米国は国民皆保険が確立してないから検査を受けることの出来ない人が大勢いる。コロナで死亡しても、単なるインフルエンザによる肺炎とされている人も多いのではないか」
「トランプ政権で米食品医薬品局(FDA)の前長官だったスコット・ゴットリーブ氏が、米国では報告されていない新型コロナウイルスの感染症例が『数百ないし数千』ある可能性があり、少なくとも2州、場合によっては4州で『地域的な拡大』が進行している恐れがあると、CBSで語っていた」
「つい最近まで3つの州でしかウイルス検査ができなかったほどで、むしろ、日本より米政府の対応のほうが遅いと言っていいくらいだ。日本が米国を入国拒否対象に早くしたほうが良いと思うよ」
「トランプさんは、足元のボヤを何とかしたほうがいい。アメリカで爆発的に新型コロナが拡大したら日本よりも深刻だ。何せ医療保険がほとんどの世帯でないのだし、貧困層も比較にならないほど多い。終息に向けてリーダーシップが発揮出来ないと再選はヤバいから、日本をターゲットにするつもりなのかもしれない」
「そうだと思うよ。いくらシンゾー、ドナルドの仲と言って安倍さんが一生懸命忖度しても、アチラさんは切り捨てるときはバッサリだからね」
(福田和郎)