他国と比べてケタ違いに少ない対策費
JETRO(日本貿易振興機構)が情報提供している新型コロナウイルスに対する各国の対策などを取り上げると、新型コロナウイルスの発生源となった中国周辺国では、以下のような規模の予算を投じている(2月末現在)。
・中国―約1兆500億円
・香港―約4000億円
・シンガポール―約5000億円
・台湾―約2200億円
これに対して、日本の予算は153億円でしかない。東京都ですら401億円を計上しているのにだ。まさに、他国と比較すればケタが違う。米国ですら約2700億円の補正予算を議会に要請している。
そのうえ、日本の対策費はそのほとんどが医療体制の強化や感染防止策のために計上されているが、たとえば香港では学生や低収入家庭に対する補助金を支給。2020年度予算案でも、18歳以上の全市民約700万人に約14万円を支給するなど、前述のほとんどの国が休業補償を盛り込んでいる。
安倍首相は2月29日の記者会見で、予算から「2700億円」の予備費を活用して、正規・非正規を問わず、子どもを持つ保護者が休業した場合の助成金を、新たに創設すると表明した。しかし、そのすべてが対策費として使えるとは限らず、また実際にいつから助成してもらえるのかも明らかではない。
全国すべての小中高校と特別支援学校に臨時休校を要請するのであれば、まずは臨時休業を行った場合に発生する問題点を抽出し、その問題点への対応策を検討。具体的な計画を準備したうえで取り組む必要がある。
現状の「付け焼刃」的な対策では、新型コロナウイルス対策そのものがうまく機能しない可能性がある。(鷲尾香一)