「お金」の育て方、米国では高校生からやっている 学んで伸ばす「金融リテラシー」

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「若者のための資産管理・運用の実践ガイド」

   本書はタイトルに「教科書」をうたっているが、学校で使われている教科書ではない。原題は「Financial Literacy for Millennials(ミレニアル世代のための金融リテラシー)」。ミレニアル世代は、1980年前後から2005年頃にかけて生まれた世代。10代からデジタル環境になじんだ、初の世代に当たる。副題には「10代、大学生、若者らのための資産管理・運用のための実践ガイド」とある。

   現代ではインターネットなどのおかげで、若い消費者が学ぶための教材は豊富にあるが、豊富であるがために学習が迷走したり、急速に変化する経済状況の中では教材がすぐ陳腐化してしまったりする。それゆえ実践の場では、しばしば若者がどこから入っていいか戸惑うことがあるという。本書は、若者が迷わずに「お金を育てる」生活を始められるよう導くための、「指南書」として売り出された。

   著者のアンドリュー・O・スミスさんは、米国初の大学投資クラブの一つであるペンシルバニア投資連合の設立を支援したことで知られる弁護士。現在は、科学専門メーカーの最高執行責任者(COO)を務めている。投資ファンドで最高財務責任者(CFO)の経験もあり、本書では、資産管理では「枠外」だが、お金に関しては縁が深いと思われるトピックもカバー。キャリアプランニング、事業の始め方のほか、金融詐欺への言及ではパソコンやスマートフォンの安全な使い方にもふれている。

   主なテーマが「金融」であり、難い内容を想像しがちだが、文章は滑らかな語り口調で、翻訳も読みやすい。ところどころに配される、ゆる~いタッチのイラストが親しみを演出する。

   ちなみに、日本で2022年度から施行される新学習指導要領では、資産形成指導の一環として「投資信託」の授業が「家庭科」で導入される予定だ。

「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」
アンドリュー・O・スミス著、桜田直美訳
SBクリエイティブ
税別1500円

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