暖冬で業績を「上方修正」した会社はどこだ!?
業績予想を修正(見込みを含む)したのは、159社中の30社。このうち28社が、暖冬が売上高や利益の減少を招くなど、業績にマイナスの影響を及ぼしたとしている。
28社を業種別でみると、製造業の13社が最多。次いで、小売業(11社)、卸売業(4社)の順。28社のうち15社で、コートやダウンなど重衣料を中心とした冬物衣料の販売が大きく落ち込んだことによる、冬物商戦の苦戦が報告されている。
また、5社がマイナスの影響を開示した食料品のうち、井村屋グループは業績予想を下方修正。冬場に需要が伸びる「肉まん・あんまん」などの点心販売が伸び悩んだ。
温かいドリンク類の需要も低調で、サッポロホールディングスは、連結子会社のポッカサッポロフード&ビバレッジが販売するスープ商品「じっくりコトコト」シリーズが苦戦。名糖産業は、飲料用の粉末ココア販売が振るわなかったという。
カイロ類も販売が苦戦。エステー、小林製薬、オカモトのメーカー3社だけでなく、カイロ用鉄粉を扱うパウダーテック(JASDAQ)も原料需要が伸び悩んだ。
暖冬がプラスに作用し上方修正に動く企業も2社あった。岩盤や基礎工事などを手がける特殊土木大手の日特建設と、JASDAQに上場する電力小売りのグリムスだ。
日特建設は降雪地での施工が順調で、業績を上方修正。グリムスは、暖冬による電力市場の安値推移が追い風となったほか、電力の調達価格の下落もあって、3月本決算で上方修正を見込んでいる。
経済産業省が2月28日に発表した1月の商業動態統計速報によると、小売販売額は前年同月比0.4%減の11兆7890億円で、減少は4か月連続。自動車が伸び悩み全体を押し下げたほか、暖冬傾向で冬物衣料が百貨店やスーパーで振るわなかった。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にマスクや除菌製品が牽引する格好で医薬品・化粧品が伸びた。
なお、TSRの調査は、国内の各証券取引所に株式上場する企業を対象に、2020年1月1日~2月25日の適時開示資料をもとに情報を収集し、調査した。2月26日の発表。