「常識破り」は創業以来の社風
アプリではなく専用機にこだわったのは、スマホではソースネクストが目指す翻訳精度を実現できないと判断したためだ。スマホのマイクでは騒がしい場所では十分に音声を聞きとれず、結果的に適切に翻訳されない。専用機ならクリアに言葉を聞き取ることが可能だ。
松田社長によると、スマホの進化・改良について要望が多いのはカメラの機能や画質の向上。だから、レンズやスクリーンの進化は非常に速い。マイクはというと、現状でも電話には困らないし、スピーカーにしても外部スピーカーやイヤホンで聴く方法があるので向上させる必要がない。メーカー側にはスマホに関してマイクやスピーカーを進化させるモチベ―ションがなく、おそらく将来にわたってAI通訳機としてはふさわしい機能を備えるには至らないとみて専用機に舵を切った。
ソフト開発で出発したソースネクストだがいまでは、ハードウエアを大々的に展開する企業に変身。だが、「ウイルスセキュリティZERO」で「0円契約」で顧客の購入ハードルを下げられた「ソフト時代」の経験から、SIM同梱を着想するなど「常識破り」は創業以来の社風。とくにIT系のビジネスパーソンや、起業を計画している人たちにとって、さまざまなヒントが盛られている一冊。
「売れる力 日本一PCソフトを売り、大ヒット通訳機ポケトークを生んだ発想法」
松田憲幸著
ダイヤモンド社
税別1500円