突然の「中止ラッシュ」に「東京五輪は大丈夫か?」
米ロイター通信に、「安倍はどこだ?」と報じられるほど存在感を消していた安倍首相でしたが、政府への批判が日増しに高まるなか、突如として全国的なスポーツや文化イベントなどについて、2週間の自粛要請を表明しました。
Japan must scrap all sporting events for the next two weeks, says prime minister Shinzo Abe
(日本はこれから2週間、すべてのスポーツイベントを中止すべきだ、と安倍晋三首相が伝えた:英Daily Mail)
Scrap:中止する
具体的なガイドラインが示されない突然の「自粛要請」は、正直「場当たり的」な匂いがぷんぷんします。しかも何かあったら「主催者責任」が問われそうなこともあって、一気にイベントやスポーツ大会の中止が発表されました。
安倍首相が「イベントの自粛を要請」するという「英断」を突然下した背景には、東京五輪・パラリンピックの存在がありました。
国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員が、「東京五輪を開催するかどうかの判断は5月下旬がリミットだ」と発言したと大々的に報じられたからです。
Tokyo Olympics still 'business as usual', says IOC's Dick Pound
(「東京五輪は、平常どおりに行う予定だ」と、IOCのディック・パウンド委員が発言した:英BBC放送)
business as usual:いつもどおり、平常どおり
インタビュー(原文)を読む限り、パウンド委員は「五輪の準備は平常どおり進めている」という前向きなメッセージを発信しています。「開催するかどうかの判断は5月下旬までする必要がない」とも言っているのですが、この部分に注目が集まり過ぎてしまい、「IOC委員が五輪中止を示唆」といった反応を引き起こしたように思えます。
さらに皮肉なことに、安倍首相が「英断」した「イベント自粛要請」は、海外メディアの目には「異常事態」に映ったようです。