新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり「パンデミック(世界的流行)」の様相を呈してきました。
WHO(世界保健機関)は、中国国外での感染者増が初めて国内を上回ったと発表。ベネチアのカーニバルやラグビー6か国対抗戦などの文化・スポーツイベントが次々と中止になるなか、東京五輪の開催をめぐる報道が急にヒートアップしてきました。
皮肉なことに、安倍晋三首相の「ご英断」が「やぶへび」になってしまったようです。
世界中に広がった「安倍首相はどこだ?」
日本国内でも新型コロナウイルスの感染が広がるなか、米ロイター通信が投げかけた「安倍首相はどこ?」という疑問が、話題になりました。
'Where's Abe?' critics ask, as coronavirus spreads in Japan
(日本でコロナウイルスの感染が広がるなか、「安倍はどこだ?」と批判されている)
米ロイター通信は記事の中で、「舵取りに失敗した」安倍首相が、コロナウイルス対応を厚労大臣に「丸投げしている」と批判しています。
Shinzo Abe has failed to take the helm as the public face of the response to the virus, leaving the task largely to his health minister
(安倍晋三氏は、ウイルス対策の代表として舵取りに失敗し、厚労大臣に丸投げしている)
take the helm:舵を取る
as the public face:対外的な顔として
leave the task to:~に下駄をあずける、丸投げする
本来であれば、安倍首相自らが陣頭指揮を取ってリーダーシップを発揮するべきところ、公の場になかなか姿を見せない。国民への会見は加藤勝信厚生労働相に任せっきり。対策会議にはちょっとしか顔を出さないのに、夜な夜な会合に出かけている......。「この期に及んで姿を見せなければ、非常時動員もしていない!リーダーシップはどこにいった?」という米コロンビア大学教授の痛烈な安倍首相批判も紹介しています。
このロイター通信の記事は、よほどインパクトがあったのでしょうか。またたく間にさまざまな言語に訳されて、世界中に広まってしまいました。東京五輪・パラリンピックの開催を控え、指揮官であるべき安倍首相が存在感を示せなかったことは、甚大なイメージダウンです。「Where's abe?」(安倍はどこだ?)は、どんなに辛辣なことばよりもダメージが大きいのではないかと懸念しています。