初めての試みに「当初はかなり不安でした」
他社もやったことのない「採用コミュニケーション」にチャレンジした(写真は、三宅一彰さん)
―― 2019年から、採用活動に関してさまざまな取り組み(採用コミュニケーション)を始められたそうですね。どのような取り組みなのでしょうか。
池尾さん「まず、就職活動というよりは、将来の就職先の一つに製造業や『NOK』を見てほしいということで、インターンシップへのPRを目的に5~6月に、広告ポスターを制作して、首都圏の27の大学の最寄り駅に掲出しました。NOKの部品が使われているクルマやスマホなどをビジュアルに使って、それぞれの大学向けにカスタマイズしたキャッチコピーも作りました。製造業はお堅いと思われがちなので、軽さやあたたかみのある表現で学生と目線を合わせるといったところにも気を遣いました」
東京大学の最寄り駅 に掲出したポスター
三宅さん「そして、さらにNOKを知ってもらうために、各大学の校門の前で、学生たちにお菓子を配りました。ただのお菓子ではなく、NOKの製品のイラストやその説明、会社ロゴなどをパッケージにプリントしたものです。チラシのようなものですが、学生たちが勉強の合間にお菓子を食べながらパッケージにも目を通してくれたらというのが狙いでした。
ほかにも、北海道から九州までの全国7大学で『NOK全国大学もちもの検査』というイベントも行いました。これは構内の一角に幟を立てて、学生に集まってもらい、学校でなじみのある「もちもの検査」と似たような形で鞄の中身をみせてもらい、NOKの部品が使われているスマホなどを持っていたら、クーポンや生協チケットを提供するというものです。学生が集まってくれるのかドキドキしましたが、おかげさまで、1大学で200~300人ほどが集まりました。併せると2000人近くの学生が参加してくれたことになり、NOKの製品や技術が身近なところにあることがアピールできたのではないかと、考えています。
それでも、他社に先駆けて、こうした取り組みを進めていくことに、当初はかなり不安があったんですよ。それが実現できたのは、新しいチャレンジを後押ししてくれるような社風だったからですね」
「NOK全国大学もちもの検査」には多くの学生が関心を寄せた
―― 宣伝しないところから一転して、さまざまな施策を試しました。学生の反応はいかがでしたか。
池尾さん「概ね良好でした。学内説明会で、『ロゴを見たことあります』とか『あのお菓子を配っていた会社だったのですね』といった反応もあり、少しずつ認知が浸透している印象があります。また、前年と比べてインターンシップに参加してくれる学生が増えたのは、こうした取り組みのおかげかなと思っています」
学生の反応は良好だった(写真は、池尾並恵さん)