NOK株式会社は、国内の多くの自動車メーカーに採用されている「オイルシール」や、スマートフォンなどに使われる「フレキシブルサーキット」など、私たちの生活には欠かせない製品に使われる部品※を製造している。そんな世界トップクラスの技術力を有する同社にも、悩みが......。
どれも華々しい実績だが、典型的な「BtoB」企業のため、これまで会社名はあまり知られてこなかったのだ。
そこでNOKは採用活動の強化のために、学生に向けて知名度アップに乗り出した。同社人材企画部・採用企画課の池尾並恵さんと三宅一彰さんに、最近の採用活動やコミュニケーション施策について話を聞いた。
※ オイルシールとは...... 自動車のエンジンやギヤードモータなどに使用され、主に回転軸端部からの油漏れや、外部からのほこりの侵入を防止する部品。
※ フレキシブルサーキットとは...... 薄く、軽く、やわらかい回路基板で、携帯電話などの電子機器の小型化や軽量化、高性能化に貢献している。
NOK採用企画課の池尾並恵さん(左)と三宅一彰さん(右)
売り手市場なので「製造業に来てくれる学生が他の業界に行ってしまう」
―― 就職活動での学生の会社選びについて、最近はどのような傾向がありますか。
三宅一彰さん「以前は、買い手市場ということもあり、学生がたくさんの企業にエントリーして、企業説明会に参加したり面接を受けたりという活動が主流でしたが、最近は求人数が多いこともあり、自分の働きたい業界や好みに絞る学生が増えてきていますね」
―― そんななか、NOKではどのような採用活動をされてきたのでしょうか。
三宅さん「若手社員を出身校やその研究室に派遣して、NOKのことを紹介してもらう『リクルーター活動』が中心となっています。特に技術系(理系)の学生は、自分の研究が企業でどう活かせるかという観点で、会社選びをする傾向があります。同じ研究室にいた卒業生から話を聞くことで、NOKを身近に感じてもらい、会社や仕事を十分理解したうえで、採用につながるケースが多くなっています。併せて、広く学生にアプローチできて、会社の社風を伝えることができる、企業説明会からの採用活動にも力を入れています」
―― そういった従来の採用方法に、限界を感じることもあるそうですね。
池尾並恵さん「NOKはBtoB企業で、テレビCMなどの広報活動もしてこなかったので、世間での認知度はゼロに近いんです。ましてや学生は、NOKのことなどまったくといっていいほど知りません。いくら本業の国内・海外シェアが高く優良企業であったとしても、まったく知らない会社を、就職先の選択肢には入れないものですよね。
いまは求人数が多く、就職環境としては好景気ということもあり、もともとは製造業に興味を持っていた学生であっても、よりよい条件の企業を求め、最終的には残念ながら違う業界に行ってしまうケースも多くあるんです。優秀な人材を確保するには、幅広く学生に、製造業や『NOK』を知ってもらうことが課題としてあがりました」