東大はコンサル集中、京大は地方色豊か、そして早慶・MARCHは? 上位校の21年卒就活生が選び意外な就職注目企業

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   新型コロナウイルス肺炎が猛威をふるうなか、水面下で2021年卒大学生の就職活動が佳境を迎えている。就活生はいったいどんな企業の、どこに注目しているだろうか。

   就職・転職のジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワークが、関東を中心にした、いわゆる上位校とされる9大学の「就活生が選ぶ、就職注目企業ランキング【大学別編】」を、2020年2月20日に発表した。

  • 就活生が選ぶ企業は?(写真はイメージ)
    就活生が選ぶ企業は?(写真はイメージ)
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上位20社中コンサル6社の東大、「地方」企業7社の京大

   東京大と京都大、そして早稲田大&慶応大、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の9大学。それぞれの大学生が選んだベスト20位の企業から見えてくるものは――。

   「OpenWork」は、会員ユーザーが自分の勤務している企業や官庁などの口コミ情報を投稿するサイトで、入社10年以内の社会人のほか、企業の就職情報を得ようとする学生ユーザーも多く登録している。今回の調査は、すでに登録している上記9大学の2021年卒業予定学生ユーザーが、特にどの企業を多く検索したかを調査してまとめた。

   まず東京大と京都大をみると、東大生の1位は野村総合研究所、京大生の1位は関西電力と、コンサルタント系が大人気の東大生、地域色と各分野がバランスよく出た京大生という結果になった=図表1参照。

(図表1)東京大と京都大の注目企業ランキング
(図表1)東京大と京都大の注目企業ランキング

   東京大では、国内最大級のコンサルティングファームである1位の野村総合研究所以下、上位20社中に日系、外資を合わせて6社もコンサルタント会社が並んだのが特徴だ。2位アクセンチュア、5位PwCコンサルティング、7位マッキンゼー・アンド・カンパニー、8位デトロイト・トーマツ・コンサルティング、11位アビームコンサルティングといった案配だ。このうちアビームコンサルティングは日系である。

   これに対し、京都大はランクインした企業の本社がローカル色豊かなのが特徴。上位20社中なんと7社が東京以外の「地方」だ。1位関西電力(大阪市)、3位JR東海(名古屋市)、7位パナソニック(大阪府門真市)、9位トヨタ(愛知県豊田市)、10位キーエンス(大阪市)、12位村田製作所(京都府長岡京市)、20位大阪ガス(大阪市)といった案配だ。また、東京大がコンサルタント系に集中しているのに比べ、特定の分野が特に多いといったこともなく、製造業からIT(情報通信)、コンサルタントと、各分野がバランスよくランクインしている。

上位校には意外に不人気な総合商社

   一方、早稲田大&慶応大とMARCH5大学の就職注目企業ランキングでは、どちらも外資系コンサルティングのアクセンチュアが1位という結果になった。東京大、京都大と大きく違うのは、上位にIT企業から楽天、広告代理店からは電通・博報堂と、日系企業が多くランクインしていることだ。

   また、総合商社では、東京大、京都大でも唯一ランクインした三菱商事がここでも上位に入っている=図表2参照。

(図表2)早慶とMARCHの注目企業ランキング
(図表2)早慶とMARCHの注目企業ランキング

   一般学生を対象にした各種の就職希望ランキングでは、常に上位を独占する総合商社だが、今回の東京大・京都大・早慶・MARCHの調査に関しては、ランクインしているのは三菱商事、伊藤忠商事、三井物産の3社だけだ。しかも下位であり、意外に上位校には人気薄であることがわかる。

   いったい、これら上位の企業のどこが上位校の就活生の魅力に映ったのだろうか。ランクインした4社の口コミの声を見ると――。

アクセンチュア「常に新しい分野に挑戦でき、優秀な人材に囲まれて切磋琢磨できる。退職した後、どこの会社でもやっていけるだけの実力をつけることができる。ただし、私が在籍していた頃は残業時間が半端なかったため、それなりの犠牲をする覚悟は必要だった。プロジェクトをベースにいろいろな分野に挑戦できるし、個人のパフォーマンスに対する要求度が非常に高いため、一般企業に就職するよりも速いスピードでの成長が可能だ。
キャリア開発はアサインされた(割り当てられた)プロジェクトの中で行われる。希望するプロジェクトにアサインしてもらえるようにコネを作ることや、パフォーマンスを上げることが非常に大切だ」(コンサルタント、女性)
楽天「常に新しい事業やプロジェクトに挑戦していく会社ということもあり、他の会社では得られないような刺激的な経験をすることができる。自分の仕事が社会の中で何らかの形になることを新卒社員のうちから体感した。他にはないスピード感を持って事業を展開する会社だから、漫然としていては乗り遅れる、あるいは存在感を発揮できないという意識を強く持つことが大事だ。
上司も積極的に若手を育てようとするため成長環境として文句がつけようはない。配属やアサインされる業務等で運要素がないとは言い切れないが、どこにいてもやりがいのある仕事があり、置かれた場所で力をつけていずれ自分のやりたいことをしよう、という熱い思いを持った社員が多い」(モバイル、男性)
電通「働きがいは非常にある。社員の特性が千差万別なので、社内で打ち合わせするだけでも、刺激があって毎日が楽しい。クライアントが求めてくる要求は時には厳しいものもあるが、その成果が世の中に出て行くので、苦しかった時ほど達成感は非常に大きい。インプットの機会も選択肢も多いので、自分がスキルアップしたい領域があれば、本人次第でいくらでも成長できる」(営業、男性)
三菱商事「若いうちから現場経験、特に海外でそれなりのポジションに放り込まれるので、現場マネジメント、海外企業との事業運営などなお多くを学ぶことができる。終身雇用が崩れていく中で、海外の現場でマネジメントスキルを磨くことができるのは、会社を離れてもそれなりに評価されるポイントと思う」(海外営業、男性)

   なお調査は、2021年卒業予定の登録している学生ユーザー10万7237人(2020年2月6日時点)のうち、東京大、京都大、早慶、MARCH5大学の学生(総計2万7732人)に限定して検索企業を集計した。

(福田和郎)

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