「ワラビスタン」に「リトル・エチオピア」って、どこ!?
安倍首相らが「移民」の存在を否定しても、日本で暮らす外国人の人口はすでに京都府の人口(約254万人)より多い。日本の人口減の歯止めの役割を担っているのは外国人というのが現実なのだ。
日本の総人口の割合でみれば約2%、50人に1人が外国人という計算だ。
東京都新宿区。総人口約35万人のうち、外国人は約4万3000人と12.4%を占める。新宿区が特徴的なのは20歳人口に限ってみると45%が外国人であり、特に外国人の多い大久保地区では、その割合が87%になるという。新宿区のもう一つの特徴は外国人住民の出身国・地域の多彩さ。実に126か国に及び、まさに国際都市の様相を呈している。
新宿区の成人式には、外国人の新成人はそれぞれの国の民族衣装を着けて参加。そのなかでタイ人留学生だけはリクルートスーツ姿で、著者がその理由を聞くと「できれば日本で働きたいので、いま就職活動をしている」という。「夢は日本で働くことだが難しい。どうなるかわからない」と続けた。
東京都に近い埼玉県南部の川口市や蕨市には、クルド人のコミュニティーがあり、クルド人の故郷の呼び名であるクルディスタンと蕨をかけて「ワラビスタン」と呼ばれる。 日本全国には約2000人のクルド人が住んでいるが、その6割ほどが埼玉南部で暮らしているという。1990年代の初めに、JR蕨駅周辺にクルド人が住み始め、以来、徐々に増えたものらしい。
クルディスタンは、トルコ、イラン、イラク、シリアにまたがり、「ワラビスタン」のクルド人のほとんどは、それぞれの国に戻ることはできず日本で難民申請している。しかし過去にクルド人が認定された例はなく、みな「仮放免」という状況だ。
難民としては認めないが人道的な判断から在留は許可するという「仮放免」は、就労は認められず、健保加入も不可、移動も著しく制限されている。そして、いつ入管に収容されるかわからない状況の中で毎日を過ごしている。