20代の転職者数が2014年度からの5年間で2倍超に増えた。なかでも20代前半での増加率が大きく、4培近くになった。
転職を決めた人の推移を、転職支援サービス最大手、リクルートキャリアが検証。2020年2月19日までに「転職市場の動向データ」をまとめ、その結果を発表した。同社は、「若手をめぐる中途採用戦略の質的な転換が見えてきた」と、指摘している。
企業「前職の在籍年数や経験年数」の採用基準を見直し
調査は、2009年度~13年度にリクルートキャリアのサービスを利用した転職決定者の平均人数を「1」として、14年度以降の推移をみた。それによると、20代全体では、2014年度が1.46人、15年度=1.58人、16年度=1.78人で推移していたが、17年度には2.06人と2倍台に乗せ、18年度は2.43人に増えた。
これが20~24歳の20代前半では、同じ年度順で、1.75人、2.15人、2.51人、3.05人、3.82人と、より大きな幅での伸びを記録した。
25~29歳の20代後半は、14年度から順に1.40人、1.46人、1.63人、1.86人で、18年度は2.15人だった。
その一方で同社は、企業の人事採用担当者732人にアンケートを実施。この中で「20代前半で社会人経験1年未満者の採用実績」を聞いたところ、約8割(78.1%)の企業が「(採用したことが)ある」と回答した。
近年は、新卒後の社会経験が浅いうちに就職先を辞める割合が高まっており、リクルートキャリアは企業の中途採用動向について、
「人材獲得競争の激化、事業変革の加速といった背景の中で、企業は『前職の在籍年数、経験年数』といった従来の個人を見極めるための基準を見直している」
と、指摘している。
これまで「第二新卒」というと、おおむね社会人経験3年以内で、その中には20代前半の人材が含まれるのが一般的だった。しかし、社会や雇用をめぐる変化に伴う人材の市場も変わってきており、人事採用担当者らに「第二新卒」の定義を聞くと、21.3%が「30歳まで」と回答。「31歳以上」(8.2%)と合わせると、30%近くにのぼり、「25歳」(23.4%)を上回る。この問いに、「23歳以下」と答えたのは4.1%だった。
リクルートキャリアでは「もはや新卒入社後3年以内に辞める若手を、企業は忍耐力が低いと敬遠することや、『新卒はポテンシャル重視』『中途採用は専門性を重視する』といった通説はなくなっている」と指摘した。
なお、人事担当者を対象にした調査は2019年9月25日~27日に、インターネットで実施した。