スティーブ・ジョブズも通った、あの大企業も倒産した...... 危ないパターンのケーススタディ

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ジョブズが「国宝」と呼んだ創業者

   米国のポラロイドは、撮影したその場で写真が見られるインスタントカメラの代名詞にもなり、同社の設立者でカメラの発明者でもあるエドウィン・ハーバート・ランドのことを、アップル創業者の一人、スティーブ・ジョブズは「国宝」と呼び、その才能に深い敬意を示したものだ。

   初代インスタントカメラの発表は1947年。その後もポラロイドは技術を磨き続け、小型化やオートフォーカスなどで品質向上に努め市場を拡大する。特に1960年代の成長は目覚ましく、同社の株価は4倍以上に跳ね上がった。だが、その後、映画撮影用カメラの失敗、ライバル社のコダックの追い上げなどで、1980年を境にポラロイドの写真業界のシェアは下降の一途をたどるようになる。

   そして運命の分かれ目となったのは1990年代のデジタル化の波だ。ポラロイドは実は、すでに80年代半ばに高画質のデジタル画像を生成できる技術を持っており、その推進を主張する声も社内にあったが、会社にとって重要なフィルム市場を奪ってしまう可能性があることなどを理由に、新市場への挑戦が見送られたという経緯がある。そして、このことが後に大きく響くのだ。

   ポラロイドのアナログ継続は一時的に成功するが、時代のベクトルはすでにデジタルの方向。デジタル技術の蓄積をやめてしまったポラロイドは置き去りにされる。収益は落ち込み続け身動きがとれなくなった2001年10月、同社は「連邦倒産法第11章」を申請し約60年にわたる歴史にピリオドを打つ。

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