ツルハホールディングスを追え!
ドラッグストア業界では成長過程の中で、北海道を地盤とするツルハホールディングスが企業買収を重ねて躍進を遂げた経緯があり、各社がこれを範に、規模の拡大で可能になる大量仕入れをテコに価格競争力を高め生き残りを画策しているという。
1929年に旭川で創業したツルハは、87年に東京に進出。95年に流通最大手ジャスコ(現イオン)と資本・業務提携した。そして、2001年に神奈川県で薬局チェーンを展開する「リバース」を買収(M&A)して子会社化。06年には千葉県の「くすりの福太郎」、09年に島根県の「ウェルネス湖北」を傘下に収めた。
その後もM&Aの意欲は衰えず買収を続け、店舗数は2019年5月時点で2000を超えた。19年5月期決算では、売上高は前期比16.2%増の7824億円、営業利益は同4.0%増の418億円で増収増益となり、堂々と業界首位に輝く。
業界でいま注目されているのは、かつて業界の雄だったマツモトキヨシホールディングスだ。マツキヨは2015年まで20年以上にわたって売り上げで首位を続けてきたが、ツルハの買収による進撃でわきに追いやられ現在では業界5位に甘んじている。そこで、このままでは終われぬとばかりに発起。19年4月に業界7位のココカラファインと資本・業務提携に向けた協議を進めると発表した。
しかし6月に入り、ココカラファインが業界6位、「スギ薬局」のスギホールディングスとの経営統合の協議に応じると明言。マツキヨはこれを受けて、ココカラファインとの協議範囲を経営統合に拡大。再編をめぐる3社の駆け引きが過熱した。
結局、8月になってココカラファインは医薬品や化粧品で共通の強みを持つマツキヨとの協議を選択すると発表。統合は21年10月に予定されている。実現すれば、マツキヨは売上高1兆円、店舗数3000店となり、ツルハを抜いて業界トップとなる。