少子高齢化による市場の縮小、ライフスタイルの変化などで、従来のやり方ではモノを売るのが難しくなっている。
たとえば、クールビズをきっかけにオフィスのファッションがカジュアル化、ネクタイを締めた通勤姿が減っているのもその表れの一つ。また、ネット時代なってECが伸張したことなど、小売業界では時代の変化に合わせ、近年は企業が生き残りをかけ離合集散を繰り返してきた。
本書「最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」によると、加速している業界再編はいよいよ最終局面。その締めくくりはドラッグストアの大型統合と予測する。
「図解入門業界研究 最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]」(平木恭一著) 秀和システム
高齢化や健康志向の高まりでビジネス拡大
現在、街のあちこちにあるドラッグストアは、消費者にとってコンビニと同じくらい、人によってはコンビニ以上に親しみを感じている小売チェーン。デパートやスーパー、コンビニはそれぞれ再編が落ち着き、次のフェーズの戦いに臨んでいるところだが、ドラッグストアまだ再編統合の動きが止んではいない。
ドラッグストア業界は、高齢化や健康志向の高まりを背景にビジネスを拡大。当初は「薬屋」「薬局」の範疇だったものが、日用品からドリンク剤、化粧品などへと品揃えを充実させ、業界そのもののプレゼンスを拡大した。
さらには食品も揃えるようになり日用品ともども集客力をアップ。利益率が高い市販薬の購入を促す作戦が当たり成長を続けた。
また、医薬分離が進んだことが追い風に作用。ドラッグストアでの調剤薬販売機会が増えて、さらに業界成長に拍車がかかったという。
だが、しばらくすると調剤薬の取り扱いに必要な薬剤師が不足する事態となり出店ペースが鈍化。とくに都市部ではコンビニや、小型店展開を図るスーパーとの競合が激しくなり場所の確保も難しくなってきていた。さらに、いわゆるインバウンドによる大量購入にも「一服感」が出て、業界内では再編統合の動きが強まった。