身近な存在なのに意外と知らないエピソード
食品の廃棄をめぐっては、オーナーは別の問題に頭を悩ませているという。深夜の若者のアルバイトが、来店した友人に、廃棄商品の弁当をあげることから高じて、廃棄前の商品まであげてしまうなど、商品ロスを誘引する行動につながってしまう懸念があるのだ。
多くのオーナーは、健康被害の可能性を理由にアルバイトに対して廃棄食品の持ち帰りを禁じているが、それは表向きで、じつは想定外の商品ロス発生を防ぐためだ。
廃棄の持ち帰りOKとなるとアルバイトが「目当ての弁当を客に購入されるたら困る」と、回収時間前に弁当をバックルームに可能性がないとは言い切れない。一部店舗では監視カメラを設置するなどの対策を講じている。
著者の渡辺広明さんは、流通アナリストとしてのほか、マーケティングアナリスト、コンビニジャーナリストとしても活躍中。コンビニチェーンのローソンで店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間勤務し、約730品の商品開発にも携わった。テレビ番組のコメンテーター、新聞、インターネットメディアでの連載執筆など、さまざまなメディアで活動している。
本書では「コンビニの未来図」として、ほかにセルフレジや無人店舗のデザインなどについてもレポート。働き方改革や、高齢化社会が進む中でのコンビニのあり方なども論じている。
また、「『成人誌』のコンビニ撤退背景」や「コンビニコスメの誕生」、たばこ離れがコンビニに与えた意外な影響についての報告も。身近な存在ながら、意外に知られていないエピソードも数多く盛り込まれている。
想像力を掻き立てられる、「コンビニが日本から消えたなら」のタイトルは、「消えるわけがない」を意味する反語という。
「コンビニが日本から消えたなら」
渡辺広明
KKベストセラーズ
税別1500円