コンビニ独特の商慣習にメス
「深夜の来店客が少ないエリアでは、病院群輪番制のように深夜営業を行う店舗を限定する必要があるでしょう」と、著者。「民間競争に任せず、行政の介入やフランチャイズ法の策定によって、問題解決に早急に動き出すべき」と主張する。
コンビニ各社もそれぞれ、今後は24時間営業を減らしていく意向という。著者はまた、利用者に向けて「コンビニの時短営業に慣れていく必要がある」と述べている。
24時間営業・時短営業の問題と並んで、2019年がコンビニの「取り組み元年」となったのが食品ロスの問題だ。10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、コンビニ業界独特の商習慣に疑問が投げかけられるなどの経緯があり、大きな変化が起こり始めている。
コンビニの食品ロスをめぐる焦点の一つは「賞味期限の迫った食品の値引き販売」だ。「コンビニ会計」と呼ばれる仕組みで、食品ロスを防ぐための値引き販売が行われると利益が減ってしまう本部はこれまで、その実施に否定的な考えを示していた。
ところが、食品ロスが社会問題となってから重い腰を上げ、各店舗に実行を促す方向で動き出している。
だが、値引き販売の解禁で本部が恐れている、もう一つのことは「価格競争が招くデフレ」だという。オーナーが自由に値引きをするようになると「一律サービスのコンビニ」というチェーンのイメージが崩れ、また価格を前面にした販売合戦で、利益度外視となれば「本部・オーナーともにもうからなくなる」という問題が出てくる。著者は各社の動向を、注視しているところだ。